新型コロナウイルスの流行が始まってから、感染拡大防止の観点から多くの大学でオンライン形式の授業の形式が行われた。今は対面授業が増えてきたが、大学生は授業形式をどう考えているのか、生の声を聞いた。(カナヘビ・大学2年)

アルバイトとの両立に好都合

Aさん(大学2年・男子)は、対面授業ではなく、これまで通りオンラインで受講したいと考えている。理由は大学に通う手間とアルバイトの都合だ。

「大学に通うためには時間と交通費がかかる。それらのお金は別の場面で使いたいし、対面の授業が遅い時間まで入っていると、必然的にアルバイトのシフトを減らさなければならなくなる」

Aさんが自習用に使っているパソコン

Aさんは塾のアルバイトをしているので、生徒の都合と自分の都合を調整する必要がある。通学には最低でも1時間かかるため、調整がさらに難しい。勤務する塾は自宅から自転車で10分程度の距離。オンラインが主流だった昨年は、通学時間を考慮する必要がなく、比較的調整が容易だったという。

「大学生の誰もが対面授業を望んでいるわけではない。オンラインだと授業の効果が下がるという意見もあるが、自分は特にその不利益を感じたことはなかったし、自分のようにオンライン授業を希望する学生もいる」

やっぱりコロナが怖い…

今は対面形式。新型コロナの感染リスクや、感染した場合に勉強が遅れることも頭に浮かぶという。仮にオンライン形式なら、隔離期間であっても症状が軽快している場合には授業を受けられる。Aさんは感染が不安ならオンラインで受講する選択肢は必要だと考えている。

「半強制的に対面で授業を受けさせるのではなくて、学生が自分の意思によって対面とオンラインを選べるようにしてほしい」

一人暮らしだから人に会いたい

Bさん(大学2年・男子)は、基本的には対面で受講したいと考えている。理由は友達に会う機会と、先生に直接質問する機会が必要だからだ。「一人暮らしをしていると、家では誰とも話さないので、やはりふさぎ込みがちになる。そうならないためには友達と会う機会が必要。授業でも分からないことがあったときに、オンラインだと質問が受講者全員に聞かれてしまうので抵抗を感じてしまうが、対面だと個別で質問ができるためその心配はない」

Bさんが普段使っている文房具。100円均一のものを多用しているBさんが普段使っている文房具。100円均一のものを多用している

基本的に対面で授業を受けたいと話すが、すべての授業で対面形式を望んでいるわけではないという。「新型コロナの感染者数が増加してくると、大人数での授業は感染リスクが高くなる。その場合には対面ではなく、オンラインの形式で授業を行ってほしい」。おおむね対面での授業を希望するも、コロナの感染状況を踏まえて、対応を柔軟に変えてほしいと考えているようだ。

友達作りの機会奪われたくない

Cさん(大学1年・男子)は、入学当初から対面授業が主流。オンラインとどちらが良いかはっきりと断言はできないものの「対面で授業を受けたい」という。理由はBさんと同じく、友達の存在だった。

大学で友達と出会う機会は絶対に必要

「コロナ禍で授業のほとんどがオンライン授業となり、友達を作る機会を失った結果、大学をやめてしまう人がいるとテレビ番組などで知っていたので、自分が入学する時もずっとオンライン授業が主流だったらどうしようという不安があった」

確かに2020年度に大学に入学した現大学3年生は、ちょうど大学に入学する頃コロナ禍が直撃し、対面授業はおろか外出すら許されない状況に。対面授業が一部許容されるようになっても、一緒に授業を受ける友達なんて誰もいないという状況に苦悩した人が多かったということからも、Cさんの考えは理解することができる。

実際、Dさん(大学3年・男子)も「対面授業が一部再開されてもほとんどの人が初対面同然で、一緒に授業を受ける友達など当分はできなかったし、それを思い出すのもつらい」と話していた。突然のコロナ禍は、当時入学した大学生に深い爪痕を残しているようだ。「今は対面授業が多く行われていることから、たくさんの友達を作る機会がある。このような状況を二度と奪われたくない」

オンラインの選択肢も残してほしい

感染者の全数把握見直し、水際対策の緩和などが行われても、新型コロナに対する警戒心を強く持つ学生もいる。

学生である自分自身、Aさんの「感染ないし隔離期間でもオンラインなら授業が受けられる。感染が不安ならオンラインの選択肢も必要」という意見には強く賛同できる。自分は実家暮らしのため、実際は新型コロナではなかったものの家族が発熱して授業を欠席したことがある。成績に影響はしなかったが、勉強が遅れてしまったことに対する補償は何もない。

皆さんは、この4人の意見も踏まえた上で、大学の授業はオンラインと対面、どちらを希望するだろうか。