中学・高校生活は友達関係が広がる分、悩みもつきません。「心がつらい、苦しい」と感じること、ありますよね。臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の中学生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた「友達と話した後に後悔の気持ちでいっぱいになり苦しい」という悩みに答えてもらいました。
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【お悩み】つい余計なことを言ってしまう
私は少しおしゃべりな性格です。そして、会話が途切れたりすると、なにかしゃべらなくてはと思い、余計なことを話してしまうことがあります。
「余計なこと」というのは、相手に嫌な思いをさせてしまう場合もあると思うし、空気が変わって、私が自分で「あ、今の余計だったかな……」と気づく場合もあります。私はそれが自分で分かるので、「また言ってしまった……」と後悔し、その後しばらくは、そのシーンをリピートして思い出してしまい、ネガティブな感情に苦しめられてしまいます。
でも、そういう空気感になってしまうのは、たいていは「あまり合わないかも?」と思っている友達といる時が多い気がします。だからといって、私が「この子とはよく合う!」という子と一緒にいると、「この子は私と一緒にいて楽しいのかな? 嫌な思いをしていないかな?」と不安になってしまいます。(中学3年・女子・わっぴー)
会話が途切れたときの沈黙している時間、気まずいときがあったりしますよね。みなさんはどうしていますか? 会話をしている中で考え過ぎてしまうと、会話が楽しめなかったり、ちぐはぐなやり取りになったりすることもあると思います。
わっぴーさんがネガティブな感情に苦しまなくて済むにはどうしたらよいか、一緒に考えてみましょう。
心の中に「おジャマ虫」がささやいてない?
私がわっぴーさんのお話を聞いて想像したことは、自分にあまり合わない人でも、よく合う人でも、一緒にいる時にネガティブな気持ちを起こさせているのは、「どちらも『同じもの』ではないか?」ということです。それをあなたの心の中にいる「おジャマ虫」と呼びましょう。
例えば、あなたは「あまり合わないかも?」と思っている友達と話しています。「おジャマ虫」は、ちょっと会話が途切れたとき、あなたの心にささやいて、「なにかしゃべらなくては」とあせらせたりするのです。人によって「おジャマ虫」のささやく言葉は違うそうですが、もしかするとわっぴーさんには「嫌われちゃうかも?」と、ささやいていませんか?
わっぴーさんと同じ困りごとを持っている人は、ささやきに振り回され、人によっては友達と話すことが苦痛になることさえあるようです。そこから友達を避けるようになってしまえば、より「嫌われちゃうかも?」と思いやすくなりますよね。「おジャマ虫」のささやきを信じると、悪循環に陥ってしまうことさえあります。では、どうするとよいのでしょう?
無理に仲良くしようと思わなくていいよ
目の前の友達とその言葉に関心を寄せ、耳をしっかりと傾けることが大切ではないでしょうか。よく合うと思う友達には、最大限の関心を寄せられますよね。どんな話だとお互い楽しく話せそうか、相手を理解しようという積極的な気持ちで話が聞けると良いですよね。
そこが分かったら、積極的におしゃべりな面を発揮しましょう。「おジャマ虫」にささやかれたら聞き流し、意識は相手に戻しましょう。
「あまり合わないかも」と思っている友達には、「無理に話を合わせる」とか「仲良くしよう」とするのではなく、例えば「相手にインタビューをしよう」という心持ちで会話をしてみるのはどうでしょう? そうやって心持ちを自分で意識することで、「おジャマ虫」のささやきに流されないことが大切だったりします。
「おジャマ虫」のささやきに心を奪われず、目の前の人や物事に関心を向けること、関心を向けたいと思う人々と出会えるように行動してくださいね。応援しています!
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大倉智徳さん
おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務