高校3年間は、過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。

【お悩み】勉強習慣の付け方が分からない

中学生の頃は、テスト2週間前に勉強を始めれば間に合っていました。ですが、高校では内容がとても難しく、テスト前だけ勉強するのでは間に合いません……。

普段から学習しなくてはいけないなと思っても、やり方が分からず悩んでいます。毎日の勉強習慣をつけるために、まずやるべきこと、身につけるべき考え方などを教えてもらえますか。(高校1年女子・P.N.うめ)

テスト前だけの勉強では間に合わない…(写真はイメージ)

「数学」はテスト前に勉強NG

中学と高校ではテスト勉強量がかなり違います。通常、高校で2週間前から始めますが、それでも間に合わないことがあります。その理由は様々ありますが、一番大きい理由は、「数学をテスト前に勉強している」からです。

試験科目の中で一番時間がかかる科目が数学です。中学でも同様に数学に一番時間がかかりますが、高校は中学の比ではありません。しかも、問題を解いていてわからない問題が多数出てきます。その解決にも時間がかかります。

それだけ時間がかかる数学をテスト2週間前という貴重な時期にやるとどうなるでしょうか。その他の科目に大きな影響を与えていきます。すると数学も中途半端、他教科も中途半端となり、結局全科目の点数は伸び悩みます。

一番時間のかかる試験科目は数学

テスト期間外に数学をコツコツやる

私はよく中高生に「テスト前に数学を勉強している子は全教科点数が悪い」と言います。ではどうすればいいでしょうか?

答えは簡単です。テスト前に数学を勉強しないということは、テスト勉強期間外で数学を固めてしまうということなのです。

数学は平常期(テスト前2週間外)に毎日行います。時間は15分でも30分でも構いません。つまり毎日コツコツやることが大切なのです。

どうすればテストの点数は伸びる?

学校で使う問題集を3回転する

では数学は何を勉強すればいいでしょうか? これも答えは簡単です。学校で使っている問題集です。なぜなら、そこからテストに出るからです。

市販の問題集を買って勉強してもほとんど定期テスト勉強には役立ちません。学校で使っている問題集を、授業で終えた分野から順に解いていきます。

なお、問題集は3回転させなければ定着しません。1回目にやって間違った問題に蛍光ペンでチェック入れ、2回転目は1回目で間違った問題をやります。2回目も間違った問題は別の色の蛍光ペンでチェックします。さらに2回目で間違った問題を3回目やります。それでも間違えたら3色目を使ってチェックします。

数学は問題集を繰り返し解くことが大切(写真はイメージ)

こうして回を重ねるごとにできる問題が増えていきます。そしてここが重要な点ですが、「3回目も間違えた問題がテストに出る問題」なのです。

ですから、テスト勉強期間中に、数学はこの3回目も間違えた問題だけをやっていきます。ですからこの2週間は数学を全く勉強しないというわけではなく、少しだけやっているのです。でも、その少しの時間でやる問題は、平常期にチェックした3回目も間違えた問題です。もし時間があれば2回間違えた問題をやってもいいですが、何しろ時間がないので、数学にはなるべく時間をかけません。

計算方法がわかっていれば「OK」

そしてもう一つ大切なことを伝えておきますね。「自宅での数学の勉強で計算ミス、ケアレスミスは正解として処理する」ということです。わかっていた問題をケアレスミスしたために、もう1回やり直しというのはおかしいと思いませんか?

数学は解き方がわかればそれでマスターしたことになるのです。計算の仕方がわからければ勉強が必要ですが、計算方法を知っていたのであれば、OKにします。このようなミスで再度解き直しなどしているから時間がなくなるのです。

他教科の勉強方法については、「中学生の勉強法」(高校生にも適用可)を新興出版社啓林館から出していますので、関心があれば参考にしてみてください。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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