その後の進路に影響を与える「高校受験」。どこに進学すればいいか悩みますよね。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者から寄せられた「不登校の受験生はどこに進学するべきか」という悩みに答えてもらいました。

【お悩み】不登校受験生、どの高校に進学するべきか

高校受験生なのですが、2学期から学校に行けなくなり別室登校をしています。クラスの雰囲気が嫌で教室に行けなくなりました。

元々は市内でも上位、自分にとって少し難しい公立高校を推薦で受けたいと思っていました。ですが、授業には全く出られなくなり、勉強もほとんど集中できなくなってしまいました。

不登校になり勉強に集中できず

「偏差値の高い学校に行けば、まだ落ち着いた雰囲気で過ごせるかな」と思って、志望校を決めました。逆に他の高校は学校説明会に行った際、どれも「行きたくないな」と思わされる学校ばかり。通信制も視野には入れていますが、「大学受験が厳しいのでは」と思い、迷っています。同じような理由で親には反対されそうです。

通信制だと今のような生活から永遠に抜け出せないのではないか、永遠に頑張れなくなるのではないかということも心配です。通信制を検討した方がいいでしょうか。それとも、頑張って普通科を受けたほうがいいでしょうか。(虹・中学3年女子)

無理に学校に行くことはない

こんにちは。石田勝紀です。クラスの雰囲気が合わなくて学校に行けなくなるということありますよね。大人でも、「雰囲気に良くない所に毎日行こう」とは思わないのと同じです。

学校というところは、教科という勉強以外にも、プラス面、マイナス面含めてさまざまな学びがあるので、意味はあると思います。ですが、今行けない状態であるのに、無理に行くことはありません。別室登校もありです。

高偏差値の普通科は順応できる可能性が高い

高校からは、義務教育の中学校とはまた別の世界が展開されます。自分のやりたいことを選択することがある程度可能となります。大学はさらに自由度が増してきます。

高校は選択の自由度が増す

さて、それで高校をどうするかという話ですね。高校は通常、学力による選抜がされているので、学力という点ではある一定水準の人たちが集まっています。偏差値が高ければ、ある程度落ち着いていることは想定内ですが、かといってクラスのその雰囲気が自分に合うかどうかは行ってみなければわかりません。ただ、中学生のときの感性と高校生のときの感性は異なるので、ある程度の適応範囲内であれば順応できる可能性は高いです。その意味では、虹さんは、普通科のある程度の偏差値が高いところに行っても大丈夫だと思います。

通信制高校の進学実績は伸びている

一方、通信制高校です。私はある通信制高校の役員を10年以上やっているため、実態を知っています。現在の通信制高校は、多様性に富んでおり、高い大学合格実績を出している通信制高校もあります。難関高校を退学して通信制に転校し、東大、京大に合格する子が出ていることをご存じでしょうか。しかも、少数ではありません。私の予見ですが、今後通信制高校はさらに伸び、東大合格者数日本一になる日も現実になると思っています。

通信制高校からも難関大合格者が増えている

実際、難関大学進学者数が増えており、積極的に通信制高校を選択する子もたくさん出てきています。親が何と言うかわかりませんが、通信制高校は以前とは異なります。現実はそのようになっています。

通信制高校は「バックアップ」としてとっておく

以上から、虹さんはまずは頑張って普通科の学校の目指してみてはいかがでしょうか。通信制はバックアップとしてとっておき、万一その普通科の高校に合格できなかった場合、または合格して進学して合わなかった場合に転校すればいいと思います。高校は単位をそのまま引き継げることもありますので、臨機応変に対応できます。

通信制高校も合わなければ、一昔前の大学入学資格検定(大検)、現在は「高等学校卒業程度認定試験」(高卒認定試験で年2回実施されています)と呼ばれる試験を受けて大学受験する方法もあります。実際、そのようなルートで大学に進学している人もたくさんいます。

いずれにしても、大学は自由度があり、受験科目も絞られているため、自分が志す方向に進みやすくなっています。中学までが少々しんどいかもしれませんが、今後はどんどん道は拓けていきますので、頑張ってみてくださいね。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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