高校生活は人間関係が広がる分、悩みもつきません。「心がつらい、苦しい」と感じること、ありますよね。臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた悩みに答えてもらいました。

【お悩み】スポーツ推薦で入学したが部活がつらい

私はスポーツ推薦で高校に入りました。なので、部活がどんなにしんどくてもやめることができません。やめたら退学になります。

 スポーツ推薦で入学したから、しんどくても部活をやめられない…(写真はイメージ)

部活を頑張りたいんですが、いろいろあって…心が折れてしまい、何もやる気が出なくなりました。秋に大会があるんですが、それすらもやる気が出ず、「もうやめたい」「何もしたくない」って気持ちが勝っています。私はどうすればよいのでしょうか?(高校1年・女子・あーちゃん)

スポーツに限らず、何かに打ち込んでいる人は何らかの困難に遭遇することが多いのではないでしょうか。いま大活躍の大谷翔平選手であっても、過去には右肘の故障による戦線離脱、その後の成績不振があったそうです。

あーちゃんさんもいまの心境から何とか抜け出してほしいと思います。どうしたらよいのか、一緒に考えてみましょう。

何かに打ち込んでいる人は困難に遭遇することも多いはず(写真はイメージ)

【1】「いまの思い」を書き出す

いろいろあったときは、まずはいまの思いを振り返って、頭の中を整理しましょう。苦しい取り組みですが、整理せずに時間を過ごすことはつらさを長引かせることもあるので、ここは一歩踏み出しましょう。

振り返るときのポイントですが、気持ちや考えをノートや付箋に書き出すこと、頭から出した考え全体が見渡せるようにすることをオススメします。中心となる概念から分岐させて思考を整理する「マインドマップ」も有効なので、取り組んでみてもいいでしょう。

【2】現実的にできることを探す

書き出したものの中に、現実的に行動できることはありませんか? 友人関係や学業など行動すると負担感が軽くなることは、早めに具体的な対応を考える、教わる、助けてもらうなどしましょう。

自分の気持ちを書き出したら行動してみよう

そのままにすると解決する機会を逃すこともあるので、大変だとは思いますが、行動することをオススメします。

【3】自分の考え方を振り返る

心が折れてしまった要因に、自分の考え方によって生じているものはありませんか? 考え方を変えることは練習が必要。あーちゃんさんが自分を責める考え方……例えば自分に「ダメな人間だ」「価値がない」「能力がない」などがあるとしたら、それはあなたにとってよい影響は全くありません。そんな考えは「無視する・聞き流す」を心がけましょう。

【4】尊敬する人から刺激を受ける

やる気は無理に出すものではなく、人から刺激を受けて自然に出るものだと思います。あーちゃんさんはいままで頑張ってきた分、心が疲れているのでしょう。なかなかやる気が出なくてもおかしくないと思います。

やる気は無理に出すものではなく、自然に出るもの

そんなときは「好きなものに積極的に触れてみる」と良いです。身近な人や好きな人などが何をしているのか眺めたり、尊敬する選手・著名人にまつわる本やインタビュー記事・動画があったら見てみたりするのはどうでしょう? そうやって刺激を受けてみることで、やる気が出てくることがあります。

「好き、楽しい、うれしい」からやる気は出てくるものではないでしょうか。そんな気持ちを思い出せる時間を作ってみてください。あなたならできる! 応援しています。

 

大倉智徳さん

おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務

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