高校3年間は、過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。

【お悩み】将来の夢や行きたい大学、学びたい分野がない

高校3年生なのに将来や今やりたいことや目指したい分野がなく、行きたい大学もありません。

親や先生から大学へ行くことを勧められており、自分もそのことには納得しています。「勧められた大学もいいな」とは思いますし、オープンキャンパスに行った時も「良さそう」と思ったのですが、心から行きたいとはいまだ思えません。また、私自身の偏差値が低く、周りの目が気になってしまいます。

自分の進路がわからない… 

将来やりたいことがない人は、どのようにして大学を選べばいいのでしょうか。選択肢が偏差値の関係で少なく、選べる大学が狭まってしまうことは自分のせいだとわかっていますが、どうすればいいかわかりません。

選んだ後も、「もし途中で飽きてしまったらどうしよう」と考えてしまい、進路にまっすぐ向き合うことができません。甘えた考えだということはわかっていますが、どうしたらいいかわかりません。どうかよろしくお願いします。(高校3年女子・薬味3種盛り合わせ)

「自分は何者か?」を考える

大学の進路選択について悩む高校生は少なくありません。実際、志高く、やりたいことが明確で大学を選択している高校生もいますが、それほど多いとは思えません。

ですから、進路にまっすぐに向き合うことができない状態にある高校生は意外と多いものです。だからと言って、それが良い状態とは言えませんが、一般的であるということをまずは知っておいてください。

進路に悩む高校生は多い(写真はイメージ)

さてそこで考えたいことは、「自分は何者か?」ということです。人は、何かしらの才能や能力を持って生まれています。偏差値が高いとか低いとかは関係ありません。

例えば、演技が好きな子は、演技の道へ進めばいいでしょう。演技をするのに勉強の偏差値は関係ありません。もちろん、勉強はできないよりはできる方が良いでしょう。ですから勉強はどうでもいいという話ではありませんが、大切なことは「今の自分の偏差値という概念を無視」して、「自分の才能や能力を伸ばしていくこと」にフォーカスすることです。

すると今度は、「自分の才能や能力が何かわからない」という悩みが出てきますが、それは錯覚であることがほとんどです。つまり、すでに自分は知っているけども、他者との比較によって見えなくなったり、偏差値が低いからという理由で視野を狭くしたりしているだけで、本当は自分ではうっすらとわかっていたりします。

「心が動くこと」を見つけよう

そこで自分の才能や能力に気づくためのヒントを8つ出しておきますので、チェックしてみてください。ここから自分が本当にやりたいことと対峙(たいじ)していくのです。そして心が動くことが見つかったら、それを伸ばすための道を選択します。

心が動くことが見つかったら、それを伸ばす選択を(写真はイメージ)

道は大学だけとは限りません。専門学校かもしれないし、就職かもしれません。さらには海外への留学かもしれません。

その際、現状の自分の学力や偏差値を一切無視してください。目的地が決まったら、そこに至る計画を立て、コツコツ歩むだけです。するとゴールに近づいていきます。多少の回り道をするかもしれませんが、確実にゴールに近づきます。そのために学力が必要であれば、自然と勉強するようになり、学力は着実に伸びていきます。ですから、まずは自分の才能、能力について気づいていきましょう。

<自分の才能・能力に気づくための8つのヒント>

  • (1)子どもの頃に熱中していたことは何でしょうか?
  • (2)どういう瞬間に心がワクワクするでしょうか?
  • (3)人がやっていることでうらやましいと思ったことは何でしょうか?
  • (4)毎日継続してもいいこととは何でしょうか?
  • (5)趣味は何でしょうか。その趣味はもしかして仕事につながることかもしれません。
  • (6)自分だけ「人と違う」と思った分野や特徴は何でしょうか?
  • (7)世の中のこと、一般の人がやっていることに疑問を持ったことはあるでしょうか?
  • (8)これまで、つらい出来事があれば、それは将来の仕事のための準備かもしれません。

 

これら全てに答えられなくても大丈夫です。いずれかのヒントから何か得られればOKです。そしてそれを伸ばす道を調べてください。その道がもし違っていたら、方向転換すればいいだけです。でも今は取りあえず決めた道を進んでいくことをおすすめします。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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