高校3年間は、過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。

【お悩み】真面目に頑張っているのに成果が出ない

私は良くも悪くもよく「真面目」と言われます。私自身、真面目と言われるのはうれしいし、自分の良いところだと思っています。ですが、最近「真面目だね」と言われるのがうれしいけれど、つらくなってきました。

自分の良いところだと思ってるがゆえに「ずっと真面目に」「正しくしていないと」と常に思ってしまいます。そのせいで学校の友達と寄り道などができなくて、学校は楽しいものの、精いっぱい青春ができてない気がします。

真面目に努力して頑張っているのに、勉強だけではなく、さまざまな点で成果が出ません。全然努力していない子が成果を出すと、自分がばからしくなってきて嫌になります……。心にのしかかって、たまにすごくつらくなります。何か心を軽くして、このように思わない方法はないでしょうか?(桜・中学3年女子)

「真面目に振る舞う」ときから苦しくなる

「真面目」と言われることを気にしてしまうことはありますよね。私もそう言われた経験があり、その後、桜さんのように「真面目でなくてはならない」と思い、自分を縛ってしまった時期があるので、気持ちはよくわかります。

自分としては素直にやってきたことが真面目と受け取られるのであれば、それは問題ありませんが、真面目を振る舞うようになるときから苦しくなっていきます。そこで、桜さんは次のように考えてみてください。

真面目でない部分を見せる「実験」を

「実験」をしてみるのです。それは、あえて真面目ではない部分を見せてしまい、それによって周囲がどのように変わるのかを調べてみるということです。

真面目ではない部分とは、悪いことをするという意味ではありません。間違えたり、失敗したり、「あ、やば!」と思うようなことをあえて見せてしまうのです。そのときのポイントは、マイナスの表情を作るのではなく、舌を出して「やっちゃった……」という感じで明るい雰囲気を演技でいいので作ってみてください。

失敗したときのリアクションをあえて見せてみて(写真はイメージ)

これは実験なので、ずっとやる必要はありません。1回か2回ぐらいで大丈夫です。すると自分が思っているほど周囲は、桜さんのことを真面目な人であることを期待しているわけではないことがわかります。

つまり、自分で勝手に思い込み、勝手に自縄自縛状態にしてしまっていたことがわかります。これがわかると自然体で振る舞うことができるようになります。

いかに楽しむにはどうするか考える

もう1つ、真面目に努力して頑張っているのに成果がでないという話ですが、これは簡単です。真面目に努力するのではなく、「いかに楽しむか?」「楽しくなるのはどうしたらいいか?」ということに考え方にシフトしてください。これで解決します。

世の中、桜さんのように真面目に頑張っているけども成果が出ない人がたくさんいます。それは、努力する方向が違っているのです。真面目な方向ではなく、楽しむ方向にシフトするだけで一気に変わっていきます。

結果への期待値が上がる状況を変えて

「真面目にやっていれば結果がでるはず」と期待がどこかにあると思いますが、すると期待値はどんどん上がります。すると伸びていない、結果が出ないと努力が足りないと感じることがあります。期待値は、現実よりもはるか上にあるため、いつまでも期待するレベルに到達することはありません。その結果、イライラしたり、やっても無駄と思うようになったりしてしまうのです。

楽しむにはどうすればよいかを考えよう

実際は行動していれば、確実に進歩はしているのですが、その速度は遅く、1ミリ1ミリ前進するように進みます。その結果、「チリも積もれば山となる」で、成果が出てくるのです。

そのためには、「真面目→期待する→イライラする」というラインから外れなくてはなりません。

そこで、意識を「楽しむ」に変えていきます。「今、目の前のことをいかに楽しむか」だけを考えてみてください。すると期待はなくなり、自然体となり、ゴールへの到達も早くなります。ぜひ、お試しください。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?』(学研プラス)など著書多数

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