高校3年間は、過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。

【お悩み】やることが多すぎて頭がシャットダウン……

大学受験まであと1年を切り、焦りを感じ始めています。

学習計画を立てようとして、短期、中期、長期でやるべきことをリストアップしてみたのですが、あまりにも多くて……。それを考えるだけで頭がシャットダウンしてしまい、行動に移せません。

定期考査前の短期集中なら気合いを入れて頑張ることができるのですが、テストが終わると疲れが出たり気が抜けたりして途端に集中できなくなります。次のテスト前までなかなかスイッチが入りません。

テストが終わると集中できなくなる……(写真はイメージ)

大学受験までやるべきたくさんのことを、着実に消化していくためにはどうしたら良いでしょうか?(高校3年女子・P.N. FG信者)

リストアップしてる段階で素晴らしい!

短期、中期、長期でやるべきことをリストアップしている段階で、素晴らしいと思います。そのような発想もなく、ただ漫然とやる高校生も少なくないからです。

でも、リストアップすると、あまりにたくさんのリストがあり、それを見ただけで、うんざりしてしまうと思います。「こんなにやることあるの?」と。でも、これはあくまでもリストアップ段階で、そこから次の順に作業が必要になります。

(1)リストアップ→(2)優先順位決め→(3)スケジュールに落とし込み→(4)調整作業

必要度で分類していこう

では順にお話します。(1)のリストアップはできているので、(2)から続けてください。

(2)優先順位決め

たくさんリストアップされたものを、A(絶対にやる必要があること)、B(やった方がいいこと)、C(やらなくてもいいけども時間があったらやること)の3つに分けていきます。この分類の判断がわからないときは、学校の先生に聞きます。親に聞いてもいいですが、親の場合は、これをきっかけに口論になる可能性があるため、第三者である学校の先生や塾の先生がいいでしょう。

優先順位を決める

物事には、優先順位があります。優先度が高いことから処理していけば最大の効果を出すことができます。ちなみに、Aランクは全体の20パーセントほどであり、その20パーセントを仕上げると80パーセントの成果が出ると言われています。例えば教科書の重要事項上位20パーセントを勉強すれば、80点取れるという意味です。

まず短期の予定を組んでみて

(3)スケジュールに落とし込み

優先順位が決定できたら、次はスケジュールに落とし込みます

スケジュールの作り方は、細かくお話すると1冊の本になるくらいの量になるので、ここでは簡単に伝えます。

現在、量の多さで頭がシャットダウンしてしまう状態なので、長期、中期でやることはざっと見るだけにして、短期の作業をスケジュールにいれていきます。

スケジュールに落とし込んでいく

具体的には1週間単位で決めていくといいでしょう。見開き1週間で、学校の時間、塾の時間、生活時間など動かせない時間帯は枠で囲っておきます。空いた時間帯のところに、優先度の高いAランクを入れてきます。さらに時間が空いていればBやCを入れていきます。たとえ、BやCの時間が足りなくても、最低限Aが終われば良しとします。

予定はキチキチにいれず、余裕を持って作ります。例えば、休み時間なく、継続していると必ずつらくなります。多少時間が延びても大丈夫ぐらいの余裕を作っておきます。また、土日は時間がとれるので、平日やりきれなかった分を土日に消化することもできるように、週末も余裕をもたせていきます。

そして、終わった作業は赤ペンで消込していきます。すると終わっていないことが明確になります。

受験は長期マラソンだと心得て

(4)調整作業

計画を立てても、通常はその通りにいきません。ですから必ず調整が必要になります。それを1週間単位でやってみてください。つまり、日曜は翌週の計画を立てる予定を入れておきます。そのとき無理があるのであれば、少しペースを落とすなど修正していきます。

計画通りにいかないときは調整も大事

受験は長距離マラソンに似ています。しかし、「まずは目先の1週間を、次にまた1週間を」と短い期間を見て進めてみてください。そうすれば頭がシャットダウンすることはなくなっていくと思います。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?』(学研プラス)など著書多数

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