勉強に友達付き合いに、部活忙しい高校生活は、悩みもつきません。「心がつらい、苦しい」と感じること、ありますよね。臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた悩みに答えてもらいました。

【お悩み】死にたいと言う友達を救いたい

私には悩みを抱えている友達がいます。その子は「死んじゃうかもしれない」「死にたい」などと言っていて、自分の体を傷つけたり薬を大量に飲んだりして、体調が悪そうな日があります。

私はその子からの相談には親身になって乗り、原因が親からの束縛・自由な時間の制限、学校の先生からの叱責などだと知っています。「友達としてできる限りのことをしたい」と、いろいろな解決策を考えました。ですが、私が考えたところで実際に行動するのは彼女だし、家族でもないので、友達としてできることには限度があると気付きました。

悩んでいる友達に何かしてあげたい……(写真はイメージ)

私は将来、公認心理師を目指しています。こういう悩みを持った人にもっと何かしてあげたいのに、できない自分が悔しい。「友達が急に自ら命を絶つのではないか」と毎日とても不安です。どうしたら彼女を救えるのか分からず、苦しいです。(高校2年・女子・さぁやん)

こころにケガをした状態

助け合える友達関係があることは、学校生活を送るうえで心強いことです。大切な友達ならば、悩んでいたら何とか助けたいと思うときもあります。しかし、さぁやんさんも言っているように、友達としてできることには限度があります。「死にたい」と言っている友達に何ができるのか、一緒に考えていきましょう。

人は安全に過ごしたいと思っていても、何らかの出来事で「こころにケガ」をしてしまうことがあります。災害や事故、犯罪など、こころにケガをすることは誰にでも起こります。

ケガをすると、眠れなくなったり、イライラしたり、死にたいと思うぐらいつらくなって、自分の体を傷つけたりすることがあります。普段は落ち着いて過ごせていても、ケガをした時と同じ状況に出会ってしまうと、急に嫌なことを思い出して、つらくなることもあります。さぁやんさんの友達もこころにケガをして、いまの状態になっていると思います。

信頼できる大人に友達をつなぐ

さぁやんさんが必ずしなければいけない一番大切なことは、「信頼できる大人に友達をつなぐこと」です。いま、さぁやんさんは友達のことを身近な誰に相談していますか? その中に友達を助けられる大人は何人いますか? 

もし、いないのだとしたら、なかなか見つからないかもしれませんが、信頼できる大人を探してほしいと思います。そうすることで、一緒に友達を助けてくれる人の輪を作ることが最大の援助です。

そして、話しづらいことだとは思うのですが、友達には「あなたのことが大切で、心配だからこそ相談させてほしい」とはっきり伝えましょう。そうすることで手助けする人たちが皆、いまの友達の調子を分かって助けられるからです。これは専門の支援者なら誰もが行うことで、ベテラン支援者ほど「手助けの輪」を作ることが上手です。

信頼できる大人を探して

相談することの安心を実感してほしい

もし「手助けの輪」がすでにあるのならば、次はさぁやんさんが安心して自分の気持ちを話せる大人も見つけましょう。

手助けをする人も友達のこころのケガの影響から、負担を感じることがあります。継続的に手助けをすることを考えると、手助けする人もこころの負担を軽くして、落ち着いて友達に接することが大切です。そのためにも、さぁやんさんには自分の気持ちに気づいたり話したりする時間を作ってほしいのです。なにより、さぁやんさんも公認心理師を目指すのだとしたら、相談することの安心を実感してほしいと思います。

さぁやんさんならきっとできます! 応援しています。

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大倉智徳さん

おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務

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