2022年2月24日に始まったロシア軍によるウクライナへの侵攻。犠牲者の数が増えるとともに、ウクライナから国外に避難する人々の姿も連日報道されています。ウクライナの首都キーフ出身で現在国外で暮らす高校生・ダリアさんに、国内にいるご家族、友達についてや国際社会に望むことについて話していただきました。(高校生記者・やえざくら=3年、3月25日取材)
首都は断固として渡さない
―2022年2月24日、ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まりました。
2014年にロシアがクリミア半島を併合した時から、ロシア政府は「ウクライナに住むロシア語話者の住民の権利を守る」という名目で自らを「ピースキーパー」に見立て、軍事行動を正当化してきました。もちろん、侵攻によってウクライナに平和が訪れるということは全くなく、むしろ侵攻前のウクライナは平和な国でした。
―ダリアさんから見たキーフの現状について教えてください。
2月の侵攻当初、ロシア軍は首都・キーフの3日間での奪取を目指していましたが、ウクライナ軍の抵抗によって計画通りには進んでいません。
ウクライナ軍やウクライナ人の多くが、首都は断固として渡さないと考えています。キーフは政治的に重要なだけではなく、ウクライナ文化の中心地としても大きな役割を果たしており、キーフの投降はありえません。
絶え間なく鳴る空襲警報
―ご家族・ご友人の状況について教えてください。
キーフでも毎日のように空爆が続いており、多くの犠牲者が出ています。自分が育った都市が破壊されるのを見るのはとても苦しいです。キーフでは空襲警報が絶え間なく鳴り響き、日常生活を続けることができないため、キーフにいた友達と家族はみな退避を迫られ、国外またはウクライナ西部の都市に避難しています。
侵攻開始直後、自分の兄が住むアパートの隣のビルが爆撃にあったというニュースで朝を迎えたこともありました。他にも、戦車が民間人の車をひいたり、幼稚園や学校、病院が爆撃にあったりと、非人道的で悲惨な出来事がウクライナ中で起きています。
戦後復興への希望を忘れない
―ウクライナの人々は戦争をどのように捉えていますか。
戦争開始から1カ月たつ今も、ウクライナ人は抵抗しています。私たちウクライナ人は、自国の土地と自由をあきらめ、簡単に降伏するような人々ではありません。破壊が続く日々のでも、ウクライナ人の多くは戦後の復興への希望を忘れません。
反戦デモ、募金…できる支援はたくさん
―国際社会は何ができますか。
私たちが苦境から脱出するのを助けるために、国際社会ができることはたくさんあります。
侵攻開始直後から世界各地でおこなわれてきた反戦デモ、募金活動などは誰もが参加できて効果的な支援となります。また、自国の政府にウクライナに援助や政治的支援をするよう呼びかけることもとても重要です。
また、ウクライナが各国政府にこれまでずっと呼びかけているように、飛行禁止区域(NFZ)の設定は必要不可欠です。ウクライナ軍は陸地ではロシア軍に対し比較的よく抵抗していますが、民間人の犠牲者の多くは空爆によるため、そのような死者を減らすためにも、NFZの設定は欠かせません。
ウクライナ周辺国を始め、多くの国がウクライナからの難民を受け入れ、支援がすすめられていることに対しては、私たちみなとても感謝しています。