世界の高校生はどのような学校生活を送っているのでしょうか。今回はノルウェー・オスロ近郊出身のヤコブさん(3年)にインタビュー(現在はイタリアのインターナショナルスクールに通学中)。ノルウェーでの高校生活はどのようなものだったのかインタビューしました。(取材・翻訳 高校生記者・もも=3年 インタビューは英語)
大学に行けない学校も
―ノルウェーの高校について教えてください。
ノルウェーの高校はいくつかの種類に分かれており、私は音楽に重きを置いた高校に通っていました。
ノルウェーの学校制度を簡単に説明すると、高校は大きく「職業訓練学校」と「普通高校」に分けられます。前者では特定の職業につくための勉強ができますが、大学進学は不可能です。私の通っていた高校は、後者の「普通高校」に分類されます。
また、普通高校の中でも、「理系」と「文系」の高校があります。理系の高校出身者は、大学ではどの専攻でも選ぶことができます。文系を選ぶと、高校では基本的な自然科学(環境)についての授業はあるものの、文系科目に特化した勉強をするため、大学では文系学部にしか進めないという違いがあります。
私の通っていた高校は、音楽科目が充実しているという点で特殊ですが、文系高校と同じように、大学では理系学部は選択できません。
高校でトロンボーンのレッスン
―どのような教科を勉強するのですか?
他の普通高校と共通の「必須科目」として、「3年間のノルウェー語」「数学」「最低1年の社会科」「宗教・倫理」「地理」「自然科学(環境)」などが挙げられます。
それに加え、私の学校では「専攻楽器(私の場合はトロンボーン)の個人レッスン」「副専攻(ピアノと歌唱)のレッスン」「音楽理論」「音楽史」「アンサンブル」などがありました。
―好きな科目は何でしたか?
8歳頃に始めたトロンボーンの個人レッスンはもちろん大好きでした。それまでは苦手だった歌唱も、レッスンのおかげでとても成長でき、大きな収穫だったと思います。
また、音楽史の授業もお気に入りです。その時代背景などを知りながら音楽を鑑賞するのはとても楽しかったです。
生徒500人で合唱
―放課後はどのようなことをしていましたか?
授業外でもいろいろな音楽系の課外活動に参加していました。常に最低1つはバンドの練習などがあるくらい、忙しい午後を過ごしていました。
特によく覚えているのは、1年生の10月に参加したバンドのことです。1月に大きなイベントが企画されていたのですが、12月からの2カ月間は、毎日数時間練習するほど熱中していました。
―音楽高校ならではのイベントなどはありましたか?
学内の音楽隊などによる演奏が突然あったり、生徒によるコンサートが開催されたりしました。
中でも一番大きかったイベントは、「オスロ交響楽団」の記念コンサートです。私の学校や他の音楽高校の、合唱団に所属する生徒たちが、500人規模の合唱を行ったものです。私は参加していませんでしたが、とても印象的でした。
男女ともに兵役義務がある
―ノルウェーでは兵役制度があります(男女ともに義務、女性は2015年から)。ヤコブさんは来年入隊するそうですが、どのようなことをするのですか?
今いるイタリアのインターナショナルスクールを卒業したあと、1年間、軍隊のマーチングバンドでトロンボーンを演奏したいと考えています。
同世代の50パーセントほどが実際に入隊します。他にはパラシュート部隊などもあります。身体的にとても大変だと聞いていますが、とてもかっこいいと思います。
軍隊を終了したあとは、大学に行き、歴史や経済などの社会科学を学際的に勉強したいと考えています。
国の社会福祉政策に誇り
―ノルウェーは社会福祉制度の点において進歩的だと考えられていますが、ノルウェー人としてどう感じますか?
イメージ通り、ノルウェーは制度がしっかりしている国で、とても誇りを持っています。
特に、今いるインターナショナルスクールで他の国から来ている生徒の話を聞く時など、自分がとても幸運だということをさらに強く実感するようになりました。
一方、自分を含め多くのノルウェー人に共通して言えるのが、このようにノルウェーが先進的である点を他の国や地域にも共有し国際貢献していくべきだと考えていることです。
―ノルウェーでは日本はどのような印象を持たれていますか?
地理的に遠い国ということもあり、とてもミステリアスなイメージがあります。
芸術や寿司などの食べ物はとても人気が高く、テクノロジーが進歩している点から未来的な印象もあります。
一方、自然の多いノルウェーと同じように、自然が充実している印象もあり、ある意味二面的とも言えると思います。