高校3年間は、過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。

お悩み】塾や予備校、通信教育はいつ始めればよい?

この春、受験生になります。大学受験で合格するために、塾や予備校、通信教育をどのように選べばいいのかを教えていただきたいです。

悩むより先に何かしら始めてみるべきだとも思うのですが、自分にあったものをどうやって選べばいいのかわかりません。最近、周りが塾に通い始めて焦りを感じ、通信教育を始めようかと悩んでいます。そもそも、受験生になる春から塾や通信教育に通うのは遅いのでしょうか。

受験合格のために何をしたらいい?(写真はイメージ)

私の通う高校は都内でも上位の高校だと思います。先輩の中にも、学校のカリキュラムだけで難関大に現役合格している方々はもちろんいます。でも、もし塾や通信教育を受けないで不合格だった場合「受けていればよかった」と後悔するのが怖いんです。

理系で現役合格を目指しているので、この1年間、失敗はしたくありません。何かアドバイスをいただけると幸いです。(高校2年女子・P.N. りんご)

その悩みは大学受験のスタートに立てている証拠

塾などの選択は、受験動機がしっかりしているほど悩むものですよね。大学受験に対して「何となくやらなければならないから」という動機の場合、予備校、塾の選択で悩みません。そういう意味では、りんごさんは、すでに大学受験のスタートラインに立っているといえます。

大学受験の場合、高校だけの授業で東大はじめ難関と言われる大学に現役で合格する高校生も確かにいます。ですが、住んでいる地域にもよりますが、予備校などを利用して勉強している生徒は少なくありません。

予備校などを利用する生徒も少なくない(写真はイメージ)

合格する人ほど高校の授業を大切にする

そこで、大学受験について次のようなアドバイスをしますね。

第一に、「高校の授業」を大切にするということです。上位の高校に在籍しているということで、おそらく大学受験を意識した授業が行われているのではないかと思いますので、授業をしっかり受けて、テスト勉強もしっかりやることが大切になります。

特に高校2年までは絶対条件となります。私がこれまで指導してきた生徒を見ると、志望校に合格する子の特徴として学校の授業を大切にしていることがあげられます。

高校3年では受験科目に相当する授業は特に真剣に学びます。一番やってはいけないのが“内職(授業とは関係ない勉強を自分ですること)”です。おそらく、りんごさんは大丈夫だと思いますが、最も生産性が低い勉強が“内職”になります。

必要と感じたときが「はじめどき」

さて、いよいよ質問の核心部分になりますが、塾、予備校、通信教育をどう選択するかというお話です。まず、これからスタートすることでも遅くありません。「自分が必要だと思ったとき」がスタートの時です。

 必要だと思った時がスタートの時

また、りんごさんは通信教育を始めようと思っているとのことですが、通信教育の場合、スケジュール管理が自分ででき、さらに継続できることが前提となります。通信教育も継続して学び続けることで力は確かにつきますが、継続できない人が少なくありません。りんごさんが継続できるのであれば、通信教育でも問題ないと思います。

しかし一般には、対面の授業を選択する生徒が多いです。その場合、全ての受験科目を予備校で受けていくということも考えられますが、学校の授業にプラスして予備校全科目というのが負担にならないことが前提となります。

強化したい科目だけ受講、自分に合う講師見つけて

そこで、おすすめなのは、自分が強化したい科目だけに絞って受講するという方法です。学校の授業で十分伸ばせるのであれば、それは学校で済ませ、学校だけでは不十分という科目は予備校等で補完するといいでしょう。

その際、予備校、集団塾、個別指導塾とさまざまありますが、高校受験とは異なり、1つの塾に所属することなく、科目ごとに分けてもいいと思います。

科目ごとに分けて考えるのもいい

例えば、英語は〇〇予備校、理科は〇〇塾、数学は通信教育といった具合です。つまり、勉強は「どこで学ぶかというよりも、誰から学ぶのか」という点が大きく成績に左右するため、一つの予備校に自分に合っている講師がそろっているとは限りません。

誰が合っているか調べることは容易ではありませんが、パンフレットや口コミなどを通じて調べる以外に、例えば春期という期間だけで受講し体験してみる方法もあります。

また、家庭教師や個別指導の場合は、期間限定で特定の科目のある分野を強化したいというときに使ってみるのがよいと思います。

以上参考になれば幸いです。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?』(学研プラス)など著書多数

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