SDGsにも掲げられる「ジェンダー平等」。世界経済フォーラムが昨年発表した「ジェンダー・ギャップ指数」によると、日本は156カ国中120位と低く、男女の格差・不平等が問題視されている。そんな状況下で、家事・育児の比重が重いまま働く母親たちを助けられないか。灘高校(兵庫)の1年生4人が、忙しいワーキングマザーのため、高齢者が買い物を代行するサービスを提案した。(文・写真 中田宗孝)

働く母親の家事負担を軽くしたい

灘高校の4人が考案した買い物代行サービス「CASE Pick」。買い物代行アプリを使うと家事の負担を軽くできるため、仕事と家事で日々時間に追われている母親(ワーキングマザー)たちから高い需要があると考えた。

壇上でプレゼンをする岩田君(右)と池田君

「私の母も働くようになってから時間に追われています。買い物は夕食前に大急ぎで済ませることが増えました」(池田高啓君・1年)

シニアに運動と外出の機会を

このサービスでは「パートナー」と称する買い物代行者を「高齢者」が担うのも特色だ。「時間に余裕のあるシニアの方々に買い物をしてもらう。シニアの方に運動と外出の機会をつくり、健康を維持してもらいたいとも願っています」(池田君)

使い方は、まず利用者が専用アプリから欲しい商品、商品受け取りの希望時間などをオーダー。パートナー(高齢者)が、買い物を代行し、購入した店舗内に設けた専用の受取口に商品を保管。そして、買い物完了の通知を受けた利用者が、仕事帰りなどに商品を受け取る流れだ。

 買い物代行サービス「CASE Pick」のアイデアを伝えるメンバーの髙島晟輔君(1年)

報酬はクーポン、地域活性化にも貢献

買い物代行を行う店舗を地元密着型の中小規模のスーパーに設定することで、地域の消費活性化につなげられるという。「パートナーへの報酬は現金ではなく『クーポン』を採用。店舗での買い物代行を終えると、即、同店舗で利用できるクーポンが発券されて自分の買い物もできます」(岩田崇史君・1年)

今年1月、高校生たちが考案したビジネスプランを競う「第9回高校生ビジネスプラン・グランプリ」(日本政策金融公庫主催、東京大学本郷キャンパス開催)の最終審査会にファイナリストとして参加。事業内容のプレゼンを行い、灘高校は審査員特別賞に輝いた。