学食は、学生が安く気軽に食事を取れる場所。しかし、その学食を一人で利用できない学生もいる。今回は一人学食をしない3人の大学生に話を聞き、なぜ「一人」で利用することに抵抗があるのか探ってみた。(色=大学1年)
「ぼっちになった」と笑われたくない
Aさん(1年女子)は「学食を一人で利用したくない」と思う大学生の一人だ。きっかけは、夏休み明けの人間関係の変化だった。
「少人数で行われる通年の授業を取っており、その授業の後は二人の子と学食に行っていました。私たち3人にこれといった共通点はなく、授業が同じだから一緒にいるという感じ。夏休みが終わると、そのご飯会は自然消滅してしまいました」
一緒にお昼を食べていた友達がいなくなってしまったAさん。一人で学食に向かう前、頭によぎったのは同じ授業を取っている他の学生だという。
「もともと私たち3人は、初日の授業後に誰からも誘われずに、最後まで教室にいたから一緒にお昼を食べることになった……そのクラスのいわば『残りもの同士』。残りものがさらに『ぼっち』になってしまったのですから、みじめなことこの上ありません」
Aさんが使う学食は狭く、誰がいるのかすぐに分かってしまうそうだ。
「友達同士でご飯を食べている学生から『残りもの、ついにぼっちになった』と陰で笑われるかもしれないと想像すると、学食で食べる気にはなれませんでした。結局、その日はお昼を食べずに次の授業の教室へ行きました」
学食は避け空き教室で一人飯
Bさん(2年女子)が一人で学食を利用した経験は数回程度だ。
「初めて一人で学食に行ったときは、人目がとても気になりました。周りには友達同士で食べている子がいるのに、自分は一人で食べている。その落差にかなり落ち込みました。親しい子がいたら混ぜてもらおうと思いましたが、そういう子もいなくて……。あと、『よっ友(「よっと声を掛けるくらいの浅い関係の友達」)』くらいの距離感の人に、一人の姿を見られるのも怖かったです」
それ以降、一人で食べることになってしまった時は、空き教室でコンビニ弁当を食べたり、小さめの学食がある建物に移動したりして、人の少ないところでご飯を食べるのだという。「そのほうが人目が気にならず、気楽に食べることができました」
単に「寂しい」から一人で学食を使わない
Cさん(1年女子)が一人で学食を利用しない理由は、Aさん・Bさんとは少し異なる。
「学食で一人きりで食べたことはありません。単純に一人で食べるのが寂しいと思うからです」
Cさんは地元から離れた大学に通っていて、中高からの昔なじみの友達は周りにいない。
「お昼を食べる友達はみんな大学に入ってからの友達です。でも、どの授業にも友達がいるわけではないので、部活や他の授業で出会った友達に連絡して、お昼休みを過ごすことが多いです」
自ら友達を誘ったり友達から誘われたりしているので、一人で学食に行くことはないというCさんに、一人で学食に行く人のことについて聞いてみた。
「あんまり気にしたことないです。私が友達といる時は友達と話すことに夢中なので、周りの人のことはあんまり目に入ってないです」
「知人の視線」を気にする大学生たち
Aさん、Bさんの話から見えてきたのは、2人とも知人からの視線を特に気にしているということ。「知り合いに一人でいることを知られたくない」という思いが、一人で学食を利用するハードルを上げているようだ。
しかし友達と学食を利用するCさんは、あまり周囲を見ていない。つまり、思っている以上に他人を気にしていないのかも。
みなさんは、一人で学食に行くことに抵抗はあるだろうか?