コロナ禍は社会活動だけでなく、学生生活にも激震を与えた。「コロナ禍以前の当たり前」や思い描いていた学生生活とは全く違った日々を送る今の大学生を取材。昔との共通点を探しながら日々模索している今の大学生たちを紹介する。(ねぎ=大学1年)

コロナ禍、思い描く大学生活は来ず

コロナ禍によって学校生活は一変した。それは大学生に限らず、高校生も中学生も、そのまた下の世代も例外ではない。

私は高校2年生のおわりにコロナ禍に突入した。コロナ禍の混乱の中で、期末テストの中止、クラスターによる学校の長期休校、大学入学共通テストへの移行期による混乱など、とても振り回されたことは記憶に新しい。

やっと始まった大学生活も、親世代から聞いていたイメージや、アニメやドラマで描かれるような学生生活とは全く違っていた。

取材に答えてくれた友達と出かけた先

イベント中止、友達が作りづらく

大学生の友人(東海・東北地方出身)に取材をする中で、皆共通していたのは、やはり「懇親会や親睦会、新入生歓迎会というようなイベントはない」ということだ。

「初日に自己紹介や学科での交流会があった」という人もいたし、「そもそも大学が閉鎖された状態から大学生活が始まった」という人もいる。私自身も、入学直後に予定されていた部活動紹介イベントが、新型コロナの感染拡大により中止になった。

出会いの場が減ることで、「コロナ禍以前より友だちを作りづらくなった」と感じている。一方で「少しだけあった対面の機会に友達がめっちゃ増えた! コロナ禍ということもあり、懇親会などはなかったが、少人数講義での交流やディスカッションを通じて友人を増やすことができた」(Aさん・大学2年)という声も。「対面の場面だけじゃなく、同学年のLINEグループから友達を作った」(Bさん・1年)という人もいて、SNSを活用した友だち作りが行われていることもわかる。

寮生同士で絆が深まった

下宿ではなく寮に入ったというCさん(1年)は、「新型コロナ対策のため、寮の外にはあまり出ないので、寮の中での時間が増えて友人ができた。その友人とは深い付き合いになっている」と話す。

同じように寮暮らしの友人からは「ゲームを友だち同士で持ち寄って遊んだり、緊急事態宣言が明けてからは、空きコマに大学近辺のスポットを巡ったりして遊ぶようになった」(Dさん・1年)という話も聞けた。

寮でゲームを持ち寄って遊ぶことも

一人で過ごす下宿とは違い、ともに長い時間を過ごす寮では、コロナ禍を逆手に取ったかのように、より親密な友人関係を作りやすいのかもしれない。 

「高校時代の仲間との関係は続いているか」と聞くと、「大学以前の交友関係は広くないけど、何人かとは(関係が)続いているよ」(Eさん・1年)、「県外に行った子が多く、なかなか会えない」(Fさん・短大2年)、「お互い予定が合わなかったりして、あまり遊んでいない」(Gさん・1年)など、状況はさまざまだ。県外へ出た人はコロナ禍でなかなか故郷に戻れない。大学以前の交友関係の維持については、少なからず新型コロナの影響を受けていると感じる。 

オンライン授業がメインで友達に会えない

最後に「コロナ禍以前と現在とで、友だちとの遊びのスタイルは変化したか」を聞いてみた。

「以前は旅行などに行けていたが、コロナがはやりはじめてから学校に行く機会がなく、そもそも遊ぶことがなくなった」(Hさん・1年)という人がいた。医療系の学部に通うHさんの場合は、オンライン授業で学校に行く機会がなく、大学でできた新しい友だちにも会えていないそうだ。

遊ぶことはある人も、「人混みを避けるようになった」(Cさん・1年)、「人が少ない時間帯や人数が少ない場所を選ぶようになった」(Iさん・短大1年)、「遠出を避けている」(Eさん・1年)という声がほとんどを占めている。

ほぼ全員に共通していたのは「感染予防策を気にするようになった」という声である。かなり気を遣って遊んでいる人が増えているように感じた。 

出かける時も感染予防策に気を付けている。取材した友達と出かけた時の様子

また同じような一年になるのか?

オミクロン株の感染者が急増した。来年度以降の私たちは、どのような学校生活を送ることになるのだろうか。私たちの後輩は、また同じような1年を繰り返すことになるのか。私は、大学で学友会に所属しているので、年度末に近づいたこの頃、よく考える。

感染拡大防止策と学生生活の両立の難しさを、痛感した1年だった。いつかはまたマスクを外して学生生活を送ることができるようになることを願う。