吉井ゆめかさん(千葉・東金高校3年)の美術作品「私の、ラーメン!」を紹介します。プールに見立てたラーメンどんぶりに、楽しそうに遊ぶ高校生の姿を配置した立体作品で、全国高校総合文化祭(紀の国わかやま総文2021)の美術・工芸部門に出展されました。どのようにして制作したのか聞きました。
ラーメンをプールに見立てて
―作品のテーマを教えてください。
まずは「ラーメンが好き」という気持ちを、スケールを大きくして表現しました。
でも、ラーメンを大きくしただけでは物足りない感じがして、そこに人を組み合わせることを思いつきました。そして、大きなラーメンをプール(遊び場)に見立てて、高校生が元気に振る舞っている様子を作り、高校時代の活力を表現してみようと考えました。
この作品を見た人も、この世界に入り込んで楽しい気持ちになってもらえたらうれしいです。
台座の女の子は、目を閉じて夢の世界に溺れてしまっているようにも見えますが、見る人が好きなように想像して世界を広げてくれたらなと思います。
―こだわったり、工夫したりしたポイントは?
チャーシューの脂がのった感じや、卵の黄身の半熟の様子など、「リアルさ」にこだわりました。
食品サンプルのように、麺を箸で持ち上げた瞬間を、時間が止まったように作ったところがポイントです。フィギュアは私の分身として、ラーメンが大好きだというような元気な表情で作りました。
スープ作りは時間との勝負
―何が難しかったですか?
麺や箸が宙に浮いて止まっているように見せるのに、どのように芯を作って固定したらいいかわからず、顧問の先生と相談して考えました。麺が絡み合っているように粘土を付けたり、ヤスリをかけるのに手が届かないところがあって苦労しました。
どんぶりは張り子でできているのですが、その丸みを再現するのに一枚一枚紙の大きさや向きを変えて貼るのが大変でした。
―制作中のエピソードを教えてください。
ラーメンのつゆは茶色の樹脂を流して作っています。
樹脂は2つの液を混合して数分で固まってしまうので、その間にうまく流し込まなくてはならず、時間との勝負となります。他の部員にタイムキーパーをしてもらい、30秒ごとにカウントしてもらいましたが、とても緊張しました。
また、樹脂は硬化するときに化学反応で発熱します。本当に熱くなってしまい、湯気が出てくるし、沸騰しているみたいに泡がブツブツ出てきて、大丈夫なのかと心配になりました。
しかし、だんだん気持ちに余裕が出てくると、湯気や泡がまるで本物のラーメンみたいで不思議な気持ちになりました。
―よい作品を作るためのコツを教えてください。
芸術はオリジナリティーが大切なので、人のやらないようなことに挑戦しようとすることが大切だと思います。
次に、それをどうやって表現するかですが、顧問の先生と相談するとアイデアが浮かんできます。あとは「根気強く」です。