「起立性調節障害」という病気を知っていますか。私はこの起立性調節障害を高校1年の時に発症しました。思春期に多い病気ですが、知名度はまだ低いかもしれません。この記事を通して、少しでも起立性調節障害についてお伝えできればうれしいです。(高校生記者・ちこ=2年)
めまいや吐き気で立てなくなり
起立性調節障害は、自律神経系の異常で循環器系の調節がうまくいかなくなる病気です。
症状には個人差がありますが、「朝起きられない」「立ちくらみ」「頭痛」「めまい」「気分不良」などが挙げられます。症状の程度も人によって差があります。
軽症を含めると中学生の約10パーセントが発症しているというデータもあり、10代に身近な病気です。
私はこの起立性調節障害を、高1の時に発症しました。
朝洗面所に立って身支度をしていると、めまいと耳鳴り、吐き気が起こり、立てなくなりました。次の日も、また次の日も同じ症状が出て、病院を受診し、起立性調節障害と診断されました。原因が分からず不安だったため、診断が下されて少しホッとしたのを覚えています。
学校休みがちに「取り残される感覚」
遅刻や早退を繰り返しながら登校していましたが、朝起きられなくなり、欠席が増えていきました。
最初はとにかく学校に行けないことがつらかったです。ですが欠席が増えるたび、学校に行くことがつらくなっていきました。
時々行けても、クラスではグループの中に入れず居心地が悪い。授業についていけず、楽しかった勉強も楽しくない……。にぎやかな学校で、1人ぽつんと取り残されている感覚を覚えました。ずっとブレずに目指して入学した学校だっただけに、悔しくて苦しくて仕方なかったです。
体が弱ると心も弱り、また体も弱る悪循環にはまってしまいました。
目に見えないから理解されにくくて
その後私は、自宅で学習できる通信制高校に転入しました。
症状が最も重かったときは歩行も難しいほどでしたが、今では基本的な生活が送れるまでに落ち着きました。ですが、今でも午前中はめまいや吐き気、頭痛があり、長時間立っていると気分が悪くなります。
起立性調節障害の特徴は、風邪やけがのようには目に見えないことです。そのため、しんどさやつらさが伝わらず「気の持ちよう」「怠けだ」「気合いを入れたら朝起きられる」などと周りから言われ、ショックを受ける人が多くいます。
体と心はつながっています。周りから理解を得られ、心が安定することは体の回復につながります。起立性調節障害は気持ちや根性の問題ではないということを理解し、軽視しないでほしいです。