皆さんは、苦手な「におい」ありますか? 私は人一倍嗅覚が敏感な「嗅覚過敏」で、香水のにおいやいろいろな食べ物などのにおいが混ざった環境がとても苦手です。学校生活での悩みを聞いてください。(高校生記者・猫鳥=3年)
クラスメートの香水で体調不良に
日常生活に支障をきたすほど嗅覚が敏感な症状を、「嗅覚過敏」と言います。病気ではありません。
嗅覚過敏は、周囲からは気づかれにくいです。皆さんの周りにも、苦しんでいる人がいるかもしれません。

私の高校では、香水をつけてもよいことになっています。一時期、強めの香水をつけてくるクラスメートがいました。その香水のにおいを嗅ぐたびに、私は頭痛や吐き気をもよおし、せきは止まらず、息苦しさの症状も出ました。授業を受けるのもままならない日もありました。
「においがきつい」とは言えず…
自分ではクラスメートに「香水がきつい」と伝えにくく、先生に相談しました。しかし、「におい」はややデリケートな話題のうえ、香水や洗剤、柔軟剤は、どんなにおいの商品を使おうと本人の自由です。どう声をかけたらクラスメートを傷つけず環境を改善できるか、先生と一緒に悩みました。
最終的には複数の先生の意見を聞いたうえで、担任の先生がクラスメートに声をかけてくれ、問題は解決しました。しかし、においに関する「選択の自由」と「香害」の境目や、嗅覚過敏の人とのバランスはどうあるべきか、難しいと感じました。
マスクのにおいも苦手
嗅覚過敏の症状が出るのは、香水などのにおいだけではありません。嗅覚過敏を友達に相談したとき、「マスクつければいいじゃん」と言われたことがあります。ところが、私は「マスクのにおい」も苦手で、逆に体調不良を誘発してしまいます。身近で意外なものも苦手な人がいるということを知ってほしいです。

「香害」になっていない?
嗅覚過敏のつらさは「周りの理解が得づらいこと」と「香水や洗剤などのにおいはおのおの好きなものを選ぶ自由があること」だと感じています。ただ、自分の身の回りのにおいが誰かを苦しめていないか、香害になっていないかを考えてみてください。自分の選んだ香りで傷ついている人がいないか、においがきつすぎないか気にかけるようにしたら、より多くの人が生きやすい、思いやりのある社会になると思います。