高校3年間は、過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。
-
【お悩み】疲れて寝てしまう自分を変えるには?
最近、学校から帰って勉強しようと思ってもすぐに寝てしまいます。
YouTubeなどで「15分仮眠用」のアラーム付き動画を流しても、アラームに気付きません。普通の目覚ましのアラームでも起きることができません……。そのまま1時間、2時間と寝てしまいます。
起きた頃には寝過ぎでなんだか体調が悪くなっていて、しばらく横になっていないと動けないです。朝も同じように、短い二度寝を繰り返して、最初のアラームから30分以上経ってからやっと起きられる状態です。そのせいで夕方から夜に全然勉強できず、朝もスッキリしないまま学校へ行くので授業中も眠くなってしまいます。
眠気に勝って、家に帰ってからも勉強できるようにするには、どんな生活習慣を心がけると良いでしょうか?(高校2年女子・P.N. 猫を愛でる女)
高校生の頃は、本当に睡眠時間が何時間あっても足りないぐらい眠りたいものです。私も朝、目覚まし時計をかけても、消してまた寝ているということが何度繰り返したか。学校から帰ってきて眠くなるということはなかったので、おそらく夜の睡眠時間でなんとか問題なかったからだったと思いますが、それにしても高校時代は眠気の多い年齢なのかもしれません。
今回は、学校から帰ってきてから寝てしまい、しかもなかなか起きられないということなので、ご相談者さんには2つの方法についてお話します。どちらの方法をとってみても構いません。まずは試してみてください。
1、夜の睡眠を充実させる
1つ目の方法です。学校から帰ってきて眠くなるということは、夜の睡眠が十分に取れていない可能性があります。そこで、夜の睡眠を充実させる方法を考えます。
環境を良くしてみて
例えば、寝る前に「お風呂に入る」「アロマやお香を焚く」「ゆったりした音楽かけ、そのまま寝てもいいようにタイマーをかける」ことをやってみます。さらに、マットレスや枕などの寝具を変えることによって睡眠の質を高めることもできます。
寝る1時間前から食事・スマホ禁止
また、日常活動している交感神経が優位だとなかなか眠れないため、副交感神経を優位にするといいと専門的には言われます。先ほど挙げた例は副交感神経を優位にする方法ですが、交感神経を刺激しないように、寝る前1時間はスマホを使わない、食べ物は食べないということも試してみるといいでしょう。すると睡眠の質が上がっていきます。
夜の睡眠の質が上がっていけば、当然のことながら昼間眠くなることは少なくなると思います。すると学校から帰ってきても眠る必要がなく、活動できると思います。
机に教科書、ノートを開いたままに
ここで、家で勉強するためのアドバイスが1つあります。それは、勉強する前に、机の上に教科書やノート、問題集を “開いたまま”置いておく準備だけするということです。
時間になったら、または気が向いたら机に座ります。するとなぜか勉強できるようになるのです。これはやる気がないときにも使える方法です。勉強が出来る人がやっている秘密の方法です。ぜひやってみてください。
2、勉強する時間帯を変える
さて、もう1つの方法です。これは勉強する時間帯を変えるという方法です。つまり、家に帰ってきたら寝ることを習慣にしてしまい、勉強を家ではやらないという方法です。意外と思うかもしれませんが、今の自分の生体リズムに逆らうことなく、その流れに合わせてしまう方法です。
自分はダメと思わないで
勉強は学校や自習室や図書室(家に帰る前に終わらせてしまう)でやり、家では勉強しないという設定をはじめからしておきます。そうすれば、「また寝てしまった」という罪悪感がなくなります。一番問題なのは、「自分はダメ」「またやってしまった」などネガティブな感情を伴う罪悪感が継続的に続くことです。
この状態が続くと、やがて自己肯定感を下げていくことになります。その結果、様々な面で問題を引き起こすことがあります。ですから今の自分のままで全く問題ないと考えてしまいます。
以上、2つの方法についてお話しました。ぜひ試してみてくださいね。
石田さんに相談したいお悩みを募集します
高校生の読者のみなさんの勉強や進路に関する悩みを募集しています。
どんなことで悩んで、何を知りたいか、今はどんな状況なのかをLINEアカウント「高校生新聞編集部」に送ってください。
メッセージの最初に「石田さんへの相談」であることと、学年・性別・ペンネーム(希望者のみ。お名前・アカウント名は掲載しません)を明記してください。相談に回答できない場合もあります。記事で紹介させていただく場合は編集部から連絡します。
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?』(学研プラス)など著書多数。