推薦入試の出願状況などを発表する東大の南風原朝和副学長(右端)ら

東京大学は11月14日、導入2年目となる2017年度推薦入試の出願状況を発表した。出願者は初年度と同じ173人で、募集人数(100人程度)の1.7倍。初年度は最終合格者数が77人と募集人数を下回り、東大は「高校生にどう周知していくかは改善の余地がある」としていたが、2年目も伸び悩んだ格好だ。(西健太郎)

東大は推薦入試の出願を11月1日から4日まで受け付けた。募集人数を学部ごとに設定しており、初年度より出願者が増えたのは、法、経済、文、教養の4学部。教育、工、理、農、薬の5学部と医学部医学科は出願者を減らした。薬学部は初年度に続き、募集人数に出願者数が達しなかった。現在、各学部が出願資格を満たしているかを審査中のため、最終的な出願者数が減る可能性もあるという。

159校から推薦

東大は、各高校が推薦できる人数を男女1人ずつ(男子校、女子校は1人だけ)に限っている。今回は159校から173人の出願があった。151校から出願があった初年度と比べ、「相当数の新しい高校から推薦があり、新たな掘り起しができた」(南風原朝和理事・副学長)としている。一方で、初年度の推薦があったが2年目は見送った高校も相当数あったとみられる。南風原副学長は「(初年度の)推薦の合否がフィードバックされ、(合否の)ラインが見えた結果だろう」と語り、初年度の入試結果をみて推薦を見送った高校があるとの見方を示した。推薦要件などに関する高校からの問い合わせが初年度より「激減した」ことから、周知が進んだとみているという。

制度変更は検討せず

初年度は最終合格者が募集人数に満たない「定員割れ」だったが、東大は各学部の推薦要件や選抜方法は変更せず、一部の学部で推薦要件の「例示」を「必須」ととられないように書き方を修正するのにとどめた。国立大学の合同入試説明会などで受験生向けの推薦入試の説明を行ったが、高校を訪問して説明したり、ポスターを高校に送ったりもしていないという。南風原副学長は「まだ2年目。この数年は(推薦入試合格者の)追跡をしながら、志願者の推移を見守りたい」と話し、当面は制度変更も検討しないという。

「定員割れ」なら一般入試の合格者増員

東大は提出書類による第一次選考の通過者に対し、12月17・18日に面接などを実施。大学入試センター試験を課したうえで、2月8日に最終合格者を発表する。最終合格者が募集人数に満たなかった場合、足りない人数は一般入試の合格者を増やして対応する。

【2017年度東大推薦入試 学部ごとの出願状況】

※学部名の後のカッコ内が募集人数。出願人数の後のカッコ内は16年度の出願数
 ※出願資格などの審査前のため、最終出願者数は減る場合がある

法学部(10人程度募集) 25人出願(16年度24人出願)
 経済学部(10人程度) 14人(7人)
 文学部(10人程度) 13人(10人)
 教育学部(5人程度) 6人(9人)
 教養学部(5人程度) 24人(17人)
 工学部(30人程度) 42人(47人)
 理学部(10人程度) 25人(32人)
 農学部(10人程度) 11人(12人)
 薬学部(5人程度) 3人(4人)
 医学部医学科(3人程度) 8人(9人)
 医学部健康総合科学科(2人程度) 2人(2人)
 合計(100人程度) 173人(173人)