生活に欠かせないスマホ。少しでも時間が空けばすぐにスマホをいじる生活を続けている人は多いでしょう。鶴丸鈴奈さん(長崎・長崎日本大学高校3年)が制作した「time allocation」は、スマホ依存について訴えかけるポスターです。文化部の全国大会「全国高校総合文化祭(紀の国わかやま総文2021)」の美術・工芸部門に出展されました。どのように制作したのか聞きました。

time allocation(第45回全国高等学校総合文化祭 紀の国わかやま総文2021 美術・工芸部門出展)

時間は大切な人のために使ってほしい

―作品のテーマを教えてください。

「スマホ依存症」です。テーマを決めるとき、今何が問題になっているのか考え、何気なくスマホで調べようとしたことがきっかけとなりました。

インターネットでの検索、読書、音楽プレーヤーなど、スマホ1台でカバーすることが可能で、とても便利な道具です。しかし、その時間を家族や友達、進路実現のため努力する時間に変えたほうがいいと思いました。

―充電の描写が印象的です。

スマホは充電器さえあれば故障しない限り使用することができます。しかし、家族や友人とはずっと一緒にいられるわけではありません。

だから、スマホを使用する時間を減らし、自分の大切な人のために、そして自分のために時間を使ってほしいと思い、この作品を制作しました。

なるべくシンプルに情報量を絞って

―こだわったり、工夫したりしたポイントは?

なるべくシンプルなデザインにするために、色を3色に限定したことです。ポスターはメッセージを伝えるためのものなので、情報量が多くなることを防ぐためにこのことをこだわりました。

デザインがシンプルで塗る面積が少ない分、手のしわやコードが重なり合っているところなど細かい部分も工夫しています。

―何が難しかったですか?

デザインのアイデア出しに苦労しました。自分が納得するまで続くので、その時間がつらかったです。

コンセントとスマホを持っている手の距離感を出したかったですが、画面にうまく収まりきれなくて配置を決めるのが大変でした。シンプルなデザインなので、スマホ、コンセント、充電器、残りの充電の量が表示されたマークをしっかり細かいところも描きました。

充電器や充電量のマークもしっかり描きこんだ

友達とビデオ通話で徹夜しながらアイデア考案

―制作中のエピソードを教えてください。

私はデザインのアイデアを発想するのに人一倍時間がかかってしまい、制作する時間を十分に確保することができませんでした。なので、友達とビデオ通話しながら徹夜を何度も繰り返し、スクールバスで寝過ごしてしまうことも頻繁にありました。

他の生徒は色塗りに入っているのに、自分は下書きも終わってない状態のときもあり、心に余裕がないことが多かったです。

―よい作品を作るためのコツを教えてください。

私は色がすごく好きなので、どんな色の組みあわせが合うのか色彩の本を読んで勉強しています。構図が悪くても色の組みあわせがおしゃれだと、人の目に付くと思っているからです。

鶴丸鈴奈さん

デザインのアイデアのために、よく学校の帰り、移動中などの景色を見ています。特に空の色はとてもきれいなので、あの色の組みあわせはかわいいなとか気づきを増やすと楽しいです。