注目の若手女優・山田杏奈さん。自ら選んだ演技の世界で日々精進を続けている。そんな彼女が「コンプレックスで自信が持てない」と思い悩む高校生にアドバイスを送ってくれた。(文・中田宗孝、写真・幡原裕治)

深く考え過ぎないで

―山田さん宛に届いた高校生からの質問です。「私は日焼けしやすい肌やそばかす、性格などコンプレックスがたくさんあり、自分に自信が持てずに悩んでいます……」

私もすごく肌が荒れてた時期があったんです。当時は外に出たくなくて、人から心配されるのも嫌でした。

高校生からの質問に答えてくれた山田さん(メーク・横山雷志郎(Raishirou Yokoyama)/Yolken、スタイリング・武久真理江)

私の場合は、自分なりにできる肌ケアを全部やったうえで、それでダメなら「しょうがないや!」って開き直ることにしたんです(笑)

深く考えすぎず、ポップな気分に切り替えていく心持ちは意外に大事。ストレスをずっと抱えて辛くなるのは自分だから。

「忙しい」を言い訳にしたくない

―自分に自信を持つには、どうすればよいですか。

私は職業柄、まわりの方々から褒めていただく機会が多いのかも知れません。とってもありがたいことなんですけど、それが自分の自信になっていくことはないんです。

自信の持ち方を語る

私は夢や目標に対して、自分がどれだけ準備をしたか、努力したか、頑張ったかが自信になります。この方法でしか自信が持てない。一つ一つの積み重ねを自信に繋げていきます。

―山田さんはどんな高校生でしたか?

負けず嫌い。それは今でもです。

学業と芸能活動の両立だった高校生活。芸能活動で忙しいからといって、学校生活を疎かにしているとはまわりに思われたくなくて、勉強も頑張ってました。幼いころからとっても負けず嫌いですし、「できなかった……まあいいや」って済ませる性格じゃないんです(笑)

恋に暴走するヒロインを演じて

―綿矢りささんの小説「ひらいて」の実写版映画で、ヒロインの高校生・愛を演じてますね。

はい。実は今作の脚本や原作を読み込んでも、私が演じる木村愛の言動に「共感できないな……」と感じていたんです。

そこで、監督と話し合いの機会をたくさん設けて、愛のことを考えようとしたんです。

「ひらいて」のワンシーン

夜の教室に片思いの男子を呼び出すシーンの撮影中でも、隣の空き教室で監督と2人きりで話す時間を作ってもらいました。役柄や演技だけでなく、お互いのパーソナルなことまでお喋りして。

それで自分の中のギアをあげ、内面の回転数があがった状態でお芝居に臨めました。

―周囲を振り回すタイプのヒロイン。細かい仕草でも彼女の性格を表現していましたね。

まばたきをあまりしない、目線の動きを少なくするといった表情の演技をしてるので、注目して見てください。

あとは、教室で椅子を引くときも、静かに引こうという意識がなく大きな音を立てるとか、廊下で人とすれ違うときは自分から避けないとか、愛のキャラクターがあらわれるような、セリフ以外の細かな演技に挑戦しています。

やまだ・あんな

2001年1月8日生まれ。埼玉県出身。2011年、少女漫画雑誌が実施したオーディションでグランプリを受賞して芸能界デビュー。近年の主な出演作に映画「樹海村」(W主演)、「名も無き世界のエンドロール」、ドラマ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」(W主演)など。待機作にヒロインを演じる映画「彼女が好きなものは」(2021年秋公開)などがある。

映画「ひらいて」

 

高3の木村愛(山田杏奈)は成績優秀でクラスでも明るく目立つ存在だ。華やかな彼女は男子からの人気も高い。順風満帆な高校生活のように見える愛だが、ずっと片思いする西村たとえ(作間龍斗)の気持ちを振り向かせられなかった。ある日、愛は、たとえが地味な同級生の新藤美雪(芋生悠)と恋人同士だと知る。心を激しく揺さぶられた愛は、ある思惑を抱えて美雪と親しくなるのだが……。配給:ショウゲート。10月22日(金)より全国公開。

(C)綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会