駅のホームで、スマホを見つめる女性がひとり……。
この作品は、宮川友里菜さん(神奈川・川崎北高校2年)の写真作品「既読」です。文化部の全国大会「全国高校総合文化祭(紀の国わかやま総文2021)」の写真部門で最優秀賞(文化庁長官賞)を受賞しました。どのようにして撮影したのか聞きました。
失恋した女性の孤独感を表現
―作品のテーマを教えてください。
この写真は失恋した女性、孤独感が私の中でのテーマです。
一人ぽつんと座り、うつむき気味にスマートフォンを見る女性と静かな駅、この日は雨が降っていて傘を持っていたりと、その雰囲気は寂しそうでした。
そこに私はドラマ性を感じ、既読が付くのに返信がなかなか返ってこない、そんな恋模様を想像しながら撮影しました。女性がスマートフォンを見つめているところが印象的なため、「既読」というタイトルを付けました。
この写真は2020年の夏に撮影したもので、コロナ禍で実際に会えなくても、スマートフォンやインターネットを通じてコミュニケーションをとれるという現代らしさなど、人によってさまざまな見方ができる作品になっていればよいなと思います。
みなとみらい駅で撮影、何度も撮り直し…
―こだわったり、工夫したりしたポイントは?
この写真は写真部の撮影会で横浜に行き、みなとみらい駅を撮る時間があり、その際に撮影したものです。みなとみらい駅の特徴的な駅構内を撮るにも他の人とは違った風に撮ってみたいなと思い、ホームを上から撮りました。
みなとみらい駅はスタイリッシュな雰囲気の建物だったので、空間を意識して撮影しました。
―何が難しかったですか?
この頃は基本的な撮影方法などを教わってからまだ日が浅かったので、カメラの設定や操作方法に全く慣れていませんでした。そのため、明るさの調整や構図が自分の思っているようにはいかず、何度も撮り直しをしました。
最終的に納得がいくものが撮れたと思えたのがこの写真になります。
こだわりを持って撮るのが大事
―撮影中のエピソードを教えてください。
初めての撮影会で、部の雰囲気にもまだあまり慣れていなかったので、緊張しました。けれど、先生や先輩方から、撮影方法の再確認や「こうして撮ってみてもいいかも」などとアドバイスをもらいながら、撮影を楽しんでいました。
私の中で、「写真は個人で黙々と」というイメージがありましたが、写真部ではお互いにアドバイスをし合ったり褒め合ったりしていて、よい雰囲気だなと感じました。
―よい作品を作るためのコツを教えてください。
最近先生に「自分が気に入ったところがあったら何枚も撮る」というようなアドバイスをいただき、枚数を撮ることやこだわりを持つことは大切だなと改めて思いました。何を撮るにも、自分のこだわりを持って撮っていきたいなと思います。