地方の高校生の大学進学を応援する東京大学の学生団体「FairWind」に所属するN.T.さん(理科二類1年)から高校生への、「独学法」についてのアドバイスを紹介します。

こんにちは!

今回は「理科社会の独学法」についてお話ししたいと思います。

こんなテーマですが、世界史を一から全て独学したとかではありません。

化学や生物の後半部分を一人でなんとか勉強しただけであって、受験までにその範囲を先生から全く教わらなかったというわけでもないです。

なので、「ただの予習じゃね?」と思う方もいらっしゃると思います。正直なところその通りなのですが、この記事が少しでも皆さんの助けになれば幸いです。

きっかけはコロナ休校

まず初めに、なんで独学しようと思ったのかについてお話しします。

きっかけは新型コロナウイルスによる休校でした。

確か3月中旬から5月下旬まで続いていたと思います。

当時は進路についてぼんやりとしか考えておらず、成績もそこそこよかったので、受験に対してあまり不安も抱いていませんでした。

そのため、3月中は勉強もあんまりせずダラダラ過ごしていました。

参考書を開いて衝撃、独学を決意

そんなある日、なんとなく開いた化学の参考書に変な記号が載っているのを見たんです。正六角形みたいだけど二重線もあるような。お察しの通りベンゼン環です。

気になってちょっと調べてみると、有機化学では必須事項であるということがわかりました。

何を当たり前のことを言っているんだと思う方が大半だと思います。いやはや、今考えるとゾッとしますね。ゾッとしたのは当時の僕も同様で、「受験に頻出の物質を、共通テストまで一年もないのに知らないのか」とめちゃくちゃ焦りました。

僕は地方公立校出身なのですが、休校が決まった時は、化学は無機化学の初めの部分まで、生物は遺伝子のはたらきまでしかそれぞれ習っておらず、休校中の課題でもそれ以降の部分はあまりカバーされていませんでした。

そこで、このままではまずいのではないかと感じ、独学をしようと決意しました。

暗記を嫌がらない

前置きが長くなってしまってすみません。

ここからは独学を進めていく中で大事だと思ったポイントを三つお話しします。

一つ目は、暗記することを嫌がらないことです。

僕が独学した化学の無機化学や有機化学、生物の残りの範囲は、暗記が特に必要な分野でした。独学しているとページを進めれば進めるほど勉強した感が出るんですよね。知らないことばかりが出てきて暗記が辛くなってしまうんです。

それでも、絶対に暗記を疎かにしてはいけません。大抵の場合、何も考えずに読み進めていったって頭には何にも入ってないんですよ。煩わしく思ったとしても、暗記をじっくりやった方が結果的に定着するんですよね。何しろもう一回教科書を読み直しする方がメンタル的にキツかったりします。一回で完璧にする必要はありませんが、暗記を極端に嫌悪せずに勉強しましょう。

問題演習を同時並行で

二つ目は、問題演習を同時並行でやることです。

これは賛否両論あると思いますが、平易な問題は暗記と一緒にやったほうがいいと思います。一発で専門用語を覚えたりするのは正直いって不可能に近いんですよね。実際とは違う名前で覚えてしまう(僕はオストワルト法のことをオスワルト法と読み違えていました)など、独学では勘違いが多く生じる傾向が高いです。

そのため、簡単な問題を解いてみることで、言葉の間違いに気づいたり、教科書などには載っていなかった情報を知ったりすることができます。

もちろん、初めてやることなのでたくさん間違えても大丈夫です。

なんなら、後々見返すことで成長を感じることができます。

うまくいかなくても落ち込まない

三つ目は、うまくいかなくても落ち込みすぎないということです。

これは精神的な話ではあるのですが、独学はほとんどの場合すぐにはうまくいきません。これは当たり前のことで、自分が全く知らないことを一から自力で勉強しているのだから、簡単にはいきません。

一日前に覚えたと感じた事柄を忘れていたり、前にできていた問題ができなくなったりすることもしょっちゅうあります。

ですが、忘れて欲しくないのは、「自分は他のクラスメイト達よりも先に進んでいる」という事実です。もちろん独学すること自体を目的にしてほしいわけではないのですが、自分の意思で先へ先へと勉強を進めている、そのことに自信を持って欲しいのです。独学はその性質上、自分のモチベーションに左右されてしまいます。自分がやろうと決心して始めた独学を、誇りに思って欲しいのです。

以上が独学をするにあたってのおすすめポイントです。

独学を不安に思わないで

いかがでしたでしょうか。自慢話のようで恐縮ですが、僕はこの方法を実践して、八月にあった東大オープンで有機化学の分野でほぼ満点近く、生物でもまだ習っていなかった分野でしっかり得点することができました。

もちろん、僕の場合は時間がたっぷりあったからできただけであり、高校1、2年生の方が同じようにできるわけでもないと思います。

それでも、独学をやってみたいけど不安に思っている方の参考に少しでもなれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました!

【FairWind】東京大学の学生がつくる団体。地方と都会の教育格差の解消をめざして、東大生と地方の高校生との交流などの活動をしている。