進学校を蹴って「自称進学校」に来てしまった……地方ではよくある話です。選択肢が限られた地方では、自分に合った高校を見つけるのは難しい。私が体験した地方の高校受験のリアルをお伝えします。(Luino=3年)

県外の進学校に合格したけれど

私は地方に住む高校生です。高校受験の際は県外に遠征受験に出掛け、私立A高校に合格しました。A高校は偏差値75、毎年100名以上が医学部医学科に進学する名門校です。

しかし私が実際に進学した高校は、地元の公立B高校でした。B高校は偏差値64なので、A高校とは11の差があります。

A高校の合格通知

なぜ第1志望の偏差値の高い学校に合格したのにその学校を選ばなかったのか、疑問に思う人もいるかもしれません。

県内にはあまり選択肢がない

私は中学1年生のときから、なんとなくB高校に進学することを決めていました。B高校は、私が住む県内トップの進学校だったからです。中学3年生になると、高校受験を真剣に考えるようになります。私が住む県の高校受験は形骸化していて、県内トップとはいえ倍率は1を下回るありさまでした。

このような「ぬるま湯」とも呼べる状況に対して、県外受験を決める友人や県外受験を勧める大人たちが多くいました。その影響で、私も自然と県外受験をすることになりました。

受験校をA高校に決めたのは、飛行機を使わなくても行ける距離だったことや、旅費を出してくれる塾の先生が勧めてきたことなど、現実的な理由からでした。

A高校受験前日の夜、旅館で勉強していた

友達いない、県外で下宿…決心がつかなかった

A高校に合格したものの、私は結局地元のB高校に進学しました。

A高校もそうですが、全国的な進学校はほとんどが中高一貫校。中学校3年間のうちに人間関係も出来上がっており、授業も高校範囲まで進んでしまっています。そんな環境に高校から入るのは相当ハードモードです。地方からたったひとりで、地元にいる友達を捨ててまで県外進学を選べる人がどれだけいるでしょうか。

中高生が県外で下宿するというのも、経済面を考えると現実的ではないでしょう。多くの人が妥協して地元での進学を選ぶと思います。

A高校を目指して受験したのですが、いざ合格するとあえてこうしたハードな環境に身を投じる気概が私にはなかったことに気づきました。そして、誰かに相談することもなく、なんとなく県内に残ることを選びました。

B高校の環境も悪くなく、選んだことを後悔などはしていません。ですが、多すぎる模試や補習、課題。先生によってクオリティーに差のありすぎる授業など、いわゆる「自称進学校」に該当する特徴も持ち合わせていて、驚きとともに不満を感じることもありました。

厳しい環境を選ぶか、地元を選ぶか

やはり大学受験には名門進学校ほど有利でしょう。しかし、地方には限られた選択肢しかありません。

中高生で親元や地元を離れる決断ができる人は少数だと思います。私もほとんど気の小ささから県外進学を諦めたようなものでした。

限られた選択肢の中、地元の高校への進学を決めた

実のところ、厳しい環境に必死に食らいつく方が、生ぬるい環境に業を煮やすよりも精神的には安定します。本当にやる気のある人には、寮生活などの選択肢も検討しながら、地元に縛られることなく自分の実力を発揮できる環境に身を置いてほしいです。