世界の高校生はどんな生活を送っているのでしょうか? 今回は、日本で生まれ育ち、昨年お父さんの故郷であるカナダに移住した高校1年生のグレースさんに取材しました。(高校生記者・せかいのはじまり=1年)

カナダ在住のグレースさん

朝から部活、朝ごはんパーティーすることも

-学校がある1日のタイムスケジュールを教えてください。

部活がある日は朝7時に、ない日は8時に徒歩で学校に行きます。授業後は15時に下校し、放課後は友達と遊んだり、宿題をしたりします。

-登校が早く、朝から部活があるのですね。何の部活に入っていますか?

合唱部に所属しています。ポップス、クラシック、ジャズの3種類の合唱部があります。私はポップスとクラシックに入っていて、クラシックではアカペラなどをします。

それぞれ週2回、計4回の活動があります。朝ごはんパーティーを開催して、皆で持ち寄ったお菓子を食べることもあります。

合唱部での練習。ポップスとクラシックに所属している

-放課後は時間がありますね。友達とはどう過ごしますか?

自宅のあるバンクーバーの周辺はとても自然が多く、友達や家族と遊ぶときはサイクリングやピクニックをすることが多いです。カナダは物価が高く、私はアルバイトをしていないので、買い物をしに出かけることは少ないです。

ヤギと遊ぶグレースさん。自然豊かな環境で過ごす

宿題はオンラインで提出「量は日本より断然少ない」

-グレースさんは中学まで日本の学校に通っていましたが、日本と比べて宿題は多いですか?

英語と数学が他の教科よりも多めですが、日本と比べれば断然少ないです。

すべて当日のうちにオンラインで提出します。日本では、正解があり短時間で終わる宿題がたくさん出されていたのに対し、カナダでは量は少ないですが、レポート形式でじっくり考えるような思考力を問うものが多く、一つ一つに時間がかかります。

-お昼ご飯は何を食べることが多いですか? 

自宅からサンドイッチなどを持参する人が多いです。ただ、希望者が申し込む給食のようなランチボックスがあります。

希望者が申し込めるランチボックス。

取りに行かない人もいるので、いつも余っています。経済的に余裕がない家庭の子やお昼ごはんを持ってくるのを忘れた人は、余っているものを自由に食べることができます。

ランチボックスの中身。この日のメニューはハンバーガー、シーザーサラダ、サラダカップ、サンドイッチ、ロールサンド

LGBTQ+の話題にオープン、積極的に打ち明け

-友達とはどんな話をしますか?

日本に住んでいたときは、自分の好きなことについて話す人が多かった。カナダに来てからは、それぞれの人生観や将来したいことなど、これからの目標について話します。「大人になったらこんな家に住みたい」などの夢も話したりします。

-友達との会話でも、将来の話など踏み込んだ話をするのですね。では、友達とも社会問題などについて話すのでしょうか。関心を持っている社会問題はありますか?

最近興味を持っている社会問題は、LGBTQ+です。6月はPride Monthといって、LGBTQ+の人々の権利尊重を訴える月間です。学校中にLGBTQ+の象徴であるレインボーのパネルが飾られています。

LGBTQ+パネルが飾られた学校

-LGBTQ+について高校生で話をすることは驚きました。自身がLGBTQ+だと言う友人は身近にいるのですか?

はい。30人のクラスに4人くらいはいると思います。学校ではLGBTQ+の話題に関してかなりオープンで、むしろ自身がそうであると積極的に打ち明けている人が多いです。

日本ではそのような話題に触れづらい風潮があり、隠している人が多いと感じます。周りに言えないだけで、LGBTQ+の人は実際にはもっといると思います。

大学入試は小論文、ボランティア実績が必要な大学も

-将来の夢はありますか? また、卒業後の進路はどのように決めるのですか?

私は授業などを通して脳や心理学に興味を持ちました。大学ではそのような分野を学びたいと考えています。

ただ、友達には進路が決まっていない人もたくさんいます。親が進路の決定にどれくらい関わるかは家庭次第ですが、学校ではカウンセラーに相談する機会が設けられています。文・理・芸術のコースに分かれていて、芸術系の進路を選ぶ人も多いです。

―大学入試はどのように行われますか?

大学入試は、日本のような知識量を求める大学受験競争といったものはなく、小論文の試験がほとんどです。学校の成績やこれまでの活動が評価されます。

そのほか、入試の出願基準としてボランティア活動の実績が合計何時間必要という大学もあります。それまでの人生をどのように過ごしてきたかが重要になります。

レインボーの物を身につける

校則なしで自由、スケボー登校も

-カナダで暮らして日本のイメージは変わりましたか?

日本の学校は制服もありますし、規則正しいですね。カナダの高校ではほとんど校則というものを気にしたことがなく、スケートボードで登校する人もいるほど、とにかく自由です。それに比べて日本は規則が多く、厳しいと思います。

日本の良い点として、教育システムが進んでいると思います。特に数学と理科はレベルが高く、数学はひとつ上の学年の授業を受けていますが全く支障はありません。

【取材後記】将来を友人と話すのに驚き

カナダの高校生は友達とこれからの目標について真剣に語り合ったりするなど、自分自身を見つめ、将来の展望についてしっかりと考えていることに驚きました。また、自身がLGBTQ+だと明かしている人が身近にもいるという話はとても新鮮で、そのような環境が整っているカナダはどんな人でも暮らしやすい国だと思いました。