高校生活は友達関係が広がりますが、人間関係の悩みもつきません。「心がつらい、苦しい」と感じること、ありますよね。臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた悩みに答えてもらいました。

【お悩み】友達の女子グループに入りそびれた、今からできることは?

知り合いがいない高校に入学

今年、誰も知り合いがいない高校に入学しました。友達をがんばって作ろうと張り切っていた私。ですが、なぜかクラスの女の子たちは、ほとんどがもともと知り合いだったんじゃないかっていうくらい最初から仲良し。初日から大きな輪が出来上がっていて、私はその輪に入りそびれてしまいました。

女子の輪に入りそびれて辛い(写真はイメージ)

仲良くできる子は一人だけ

なんとか仲良くできる子が見つかったのですが、その子も静かな子。それ以上の輪は広がらず、クラスではその子としか話すことができません。

休み時間などでは、女の子たちが集まってわいわいしているところから少し離れて、2人だけが孤立している感が否めません。

高校生活を楽しみたかった…

もともと1人で過ごすのは平気なほう。ですが、せっかく高校生活がスタートしたのに、思っていたのと違ってenjoyできてない感じがして少し寂しいです。最初にもう少しがんばればよかったのかもなどと考えてしまいます。今からでも私ができることはありますか?(高1・女子・神奈川県)

【回答】自分から人との関わり方を変えてみて

「誰も知り合いがいない高校からのスタート」というだけで緊張しそうですが、友達作りもがんばったのですね。その前向きな気持ちはとても大切です。いつまでも忘れないでくださいね。

ただ、気持ちも少し疲れていませんか? 少し休憩して、これからどうしていけるといいか一緒に振り返ってみましょう。

入学前の「なりたい高校生の私」を思い出して

入学前、休み時間や授業中、放課後には何をしているあなたを想像していましたか? どんなところが良いと思って、今の高校を選んだのでしょう? 「こんなことしてみたかった」「ここにひかれて選んだ」など、思い出してください。

なりたい高校生の私はどんな姿だった?(写真はイメージ)

「なりたい高校生の私」が見えてきたら、意識的にふるまってみてもいいでしょう。人との関係を変えるには、「まず自分から関わり方を変える」ことが大切です。

友達関係はクラスのなかだけじゃない

部活動、委員会活動、学校行事など人と関わる場はいろいろあると思います。まずは視野を広げてみてください。

私が相談にのっていた高校生たちも、「学校行事で係活動をしているうちにおしゃべりをする子が増えた」「やりたかった部活動や委員会活動をバリバリがんばって、クラスにお友達はいなくても、学校中に知り合いが多くなった」子がいました。あきらめずにいると「仲良し」は必ず見つかることを、その子たちは証明してくれました。

価値観と違う人に合わせようとしないで

あなたは元々、どんな人ですか? 「その子(クラスでできた友人)も静かな子」ということは、あなたも静かな人? 中学校ではどうやって仲良しの子を作って、付き合っていましたか? 

誰も知り合いがいない高校に入学したのは、「今までの自分から心機一転したい気持ちもあったのかな」と思いました。ですが、あまりに自分の価値観と違う人と付き合うと、無理に相手に合わせてしまい、素の自分でいられなくて息苦しくなってしまうことがあります。

今までの経験で「なんとなく仲良くなれた」人がいたら、それは最高のめぐり合わせだと思います。そんな人をじっくり探すこともやってみてください。

今一緒にいる友人も大切にしてね

最後にお伝えしたいのは、いま一緒にいる仲が良い子も大切にしてほしいということです。どんなところでも相手を大切にできる人は、相手もあなたのことを大切にしてくれます。

今仲良しの子も大切にしてね(写真はイメージ)

そうすることでいつの間にか人の輪が広がっているものです。前向きな気持ちを持つあなたならできるはず。ぜひ、あなたが素でいられるすてきな人の輪を作ってください。心から応援しています。

 

大倉智徳さん

おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務

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