日本では、結婚をした夫婦は同姓にしなければならない法律があります。ですが、「法律婚をした夫婦にも希望すれば別姓を名乗り続けられる制度(選択的夫婦別姓制度)に変えよう」という議論が盛んになってきています。私の両親は法律婚をせず「事実婚」で、夫婦別姓です。両親の名字が違う家庭で育った子どもは、どんな思いを抱くのか。その一例として、私の経験談を紹介します。(高校生記者・もも=3年)

名字が違うのが当たり前で普通

私の両親は、結婚した時、どちらもが名字を変えることに抵抗があり、法律上は結婚しない事実婚という形を選びました。私は母親の名字をもち、妹は父親の名字です。私は父親と母親の名字が違うのが当たり前で、妹と違う名字であるのも「普通」だと思っていました。

事実婚、夫婦別姓の家庭で育ったももさんと家族

しかし小学校に入学し、ほかの子はみんな父親や兄弟と同じ名字を持っていて、「自分は普通ではない」と知りました。

同級生に質問されたくない…

名字が違うことについて質問されるのを避けたい。だから、父親が学校に来ることと、妹が私の同級生の前で名字を名乗ることを嫌がるようになりました。

妹の名字が私の名字と違うと知った同級生に質問されることがありました。ですが、当時はまだ別姓の理由を知らなかったため、答えられず、その質問を避けるようにしていました。

幼い時から別姓の理由を教えて!

中学入学前、初めて母親から両親の名字が違う理由を聞かされました。

それまでは友達から家族と名字が違う理由を聞かれたとき、何も説明できなかったことで、両親が別姓であることに引け目を感じていました。ですが、それ以来、中学で夫婦別姓を求める運動について勉強したこともあり、ポジティブにとらえられるようになりました。

この経験から、事実婚で夫婦別姓の場合、子どもが小さい頃からその理由を伝え、子どもが理解・説明できるようにしてほしいと思います。私は留学のためのビザ取得の準備をしているとき、必要書類を役場に取りに行ったとき、職員に両親の名字が違うのはなぜかと聞かれたことがありました。

法整備で偏見をなくしてほしい

法整備によって、事実婚や夫婦別姓に対しての偏見をなくすことも重要だと考えます。

法律を変える立場である政治家が「子どもがかわいそう」などという理由で法律を変えないこと自体が、事実婚や婚外子への偏見を残すことにつながるのです。

事実婚や夫婦別姓への偏見をなくすことも重要

他の国を見てみると、先進国、発展途上国問わず、日本よりも(夫婦別姓はもちろん)多様な結婚の形が認められており、日本でもそのような法律の改善が必要だと思います。

劣等感抱いてた、でも「今は両親に感謝」

私は小さい頃、「他の人と違う」ということで、両親が夫婦別姓であることに劣等感のようなものを抱いていたこともありました。ですが、その理由や社会的背景(結婚した夫婦の96%で女性側が改姓)を知ることにより、女性の権利について関心を持つきっかけになりました。

そして、女性が置かれている現状に夫婦別姓という形で疑問を投げかける両親の姿に感謝するようになりました。私は、選択的夫婦別姓制度に賛成です。

最近では、保守派と言われる政治家の中からも選択的夫婦別姓に賛成する人が出てきており、追い風が吹いていると言えると思います。私の経験が、少しでも多くの方に新制度の良さについて考えるきっかけになればと願っています。