高校生の時の大学受験では志望校に届かず、浪人する決断をする人もいます。地方の高校生の大学進学を応援する東京大学の学生団体「FairWind」に所属する磯邊優奈さん(理科一類2年、石川県立金沢泉丘高校出身)が高校生に向けて、浪人生活をして得られたこと、浪人中に心掛けていたことを教えてくれました。
私は石川県出身ですが、上京して予備校に通い、一浪の末に合格することができました。
あくまで浪人を経験したたった一人の話ではありますが、少しでも皆さんにお力添えができればなと思って記事を書いてみます。
浪人するかめちゃくちゃ悩んだ
浪人って、するかどうか決断するのにすごく勇気が入りますよね。実際に私もめちゃくちゃ悩みました。
確かに志望大学には行きたいけれど、また1年勉強漬けの毎日、しかも今年一緒に頑張ってきた友達の大半が大学生活を楽しんでいる傍らで…。
浪人生活ってかなりキツいものだと思っている人が多いのではないでしょうか?
実際、キツいですし、楽しいことはなかなかありません…浪人してた1年のカメラロール、すっかすかです(笑)
ここまでは想像に難くないと思います。ただ、私は浪人が悪いものだとは思っていません。
なんなら、やってよかったなと思ってたりします。ここから、私が浪人期を経て得た2つのことについて話していこうと思います。
浪人して得られた「友達」と「向き合う力」
一つ目は、「友達」です。私は予備校に通っていたのですが、たくさん友達ができました。
その人たちとは出会って2年しか経っていませんが、出会えてよかったと心の底から思えるような人たちです。
よく、みんなで「みんなに出会えたから、浪人してよかった!!」と言っています(笑)
というのも、志を共にして、苦しい時期を一緒に乗り越えた仲間は本当に一生ものなのです。
楽しいことだけではなく、苦しいこともたくさん共有してきたからこそ、面白い話も、真面目な話も、将来の話も、どんな話でも一緒に語らうことができます。
苦しい時期を過ごしたからこそ得られた宝物だと思っています。
二つ目は、「自分に向き合う力」です。浪人期、ほとんどの時間を勉強に費やします。
学校行事のようなものも無いので、ほんとにまるまる1年間勉強しかしない、と言っても過言ではありません。
そこで必然的に増えるのが「一人で机に向かう時間」です。
もちろんそれは勉強するためなのですが、ずっと勉強に集中できるわけでは無いと思います。
そういう時私は、本当に浪人してよかったのかな、勉強する意味ってなんなんだろう、将来どうしていこうかな、といったことを結構考えてました。
いかんせんずっと机に向かっているので、本当に何度も何度も同じことについて考えました。
もちろんこういうことを一人で考えるのってすごくしんどいです。
だけど、ここまで同じことについて一人で静かに考えることって、時間についての縛りが一切ない浪人期にしかできないことだったと今になって思います。
進路とかを決めていかないといけない今、あの時自分に真剣に向き合っておいてよかったなと心の底から思います。
ここまで書いてきた内容だと、浪人を勧める感じになってしまったかもしれませんが、決してそういうつもりではありません。
ただ、迷っている皆さんが、浪人=苦しいという単純な考えではなく、苦しさと引き換えにたくさん得れるものがあるということを心に留めておいてもらえると嬉しいです。
浪人するにしろ、大学に入るにしろ、結局大事なのはその後なのです。
皆さんがどちらを選ぶかは分かりませんが、「その後」がより輝く方を選択するのがいいのではないかなと思います。
浪人生活をポジティブにとらえて
私が一年浪人をして、やっててよかったことを紹介していきたいと思います。
まず一つ目は、とにかくなんでもポジティブに捉えることです。浪人期は本当にネガティブになりがちです。
勉強ばかりしてることにうんざりしてくるし、受かるかどうか不安すぎるし…。
ただ、そんなことばかり考えていても辛いだけだと思います。いかにそこをポジティブに考えるか、が大切だと思います。
私は「志望校に行けるチャンスが増えた」「将来について、自分について考える時間が増えた」「志望校について本当にそこでいいのか見直す時間が増えた」
といったように考えていました。本当にものは考えようです。
「こんな1年なくてよかった」と考えれば無駄な一年になりますし、「この1年で大きく成長できた」と考えれば実りある1年になります。
浪人期をただしんどい時期にするか、実りある時期にするかは自分次第です。
この1年が無駄じゃなかったと思えるように、まずは考え方から変えてみてください。
他人を見て落ち込まないこと
二つ目は自分に集中することです。浪人中は基本的に周りの人がうらやましく見えます(笑)
私自身も、大学に行った友達はみんな楽しそうなのに、それに比べて自分は…と落ち込んでいました。
でもこれって必要のない落ち込みだと思いませんか?確かに浪人の一年は他の人よりも楽しくないかもしれません。
だけど、それで人生が決まるわけでもないし、来年からみんなよりも思いっきり楽しめばいいだけの話です。
一年の差なんて、自分の心がけ次第でいくらでもひっくり返すことができます。
また、よく言われることですが、そもそも他人と比べる必要はないのです。
自分に集中していれば、この落ち込みはそもそも生じ得ないのです。
他人に感情を左右させられるなんてもったいない!私は自分に集中するために、LINE以外のSNSは全て削除しました。
他人の情報がそもそも入らないようにすれば、意外と他人のことって気になりません。
ただ、高校以前の友達と一切連絡を取らなかったというわけではありません。
仲良い人とはたまに遊んだり(ご飯行くとか)もしていましたし、一歩先に志望校に受かった友達には勉強なり進路なりいろんな相談をしていました。
やっぱり昔からの友達って安心感があります。予備校仲間にもたくさん支えてもらいましたが、高校以前の友達にも本当に支えてもらいました。
先に大学生になった友達とどう接するか、塩梅が難しいかもしれませんが、自分のメンタルが悪い方に持っていかれない、ちょうどいい関係を探っていってください。
あくまで自分に集中することを大切にしてください。
やっぱり大変、だけれど成長できる
ここまで何度も書いてきましたが、やっぱり浪人って大変です。でも、大変だからこそ、自分を大きく成長させられるチャンスだと思います。
私は、志望校に合格できた、というのもそうですが、人間的に成長できたという点において、浪人して良かったと思っています。
浪人期を後悔しないような一年にできるかどうかは皆さん次第です。一年後の合否結果はもちろん大事かもしれませんが、それだけではないということを胸に留めつつ頑張っていってほしいです。応援しています!!
- 【FairWind】東京大学の学生がつくる団体。地方と都会の教育格差の解消をめざして、東大生と地方の高校生との交流などの活動をしている。