受験勉強の計画を立ててもなかなか実現できないという人も多いのではないでしょうか。地方の高校生の大学進学を応援する東京大学の学生団体「FairWind」に所属する稲田裕介さん(法学部3年、岩手県立盛岡第一高校出身)から高校生への、勉強計画の立て方のアドバイスを紹介します。

皆さんは勉強をする際に「計画を立てる」ということをしていますか?

ここで断っておきたいのは、「計画を立てる」ということが性に合っている人もいれば、そうでない人もいるということです。

特に新高校3年生は受験に向けても残り時間が少なくなってきています。その貴重な時間を計画設定に使うのはもったいないと考える人は必ずいると思います。

そのようなことを考慮した上で、私が提案したいのが以下の2点です。

(1)必ず毎日やることを決める

(2)長期休業中は計画を積極的に立てる

(1)必ず毎日やることを決める

日々自分を取り巻く状況は変化していて、その日の気分によって自分がやりたい教科なども変わってくるでしょう。

また、授業の予習や復習・課題などに追われ、計画を立ててもなかなかノルマを果たせないこともあると思います。

そのような場合にでも計画を無理やり維持しようとすると、先ほど言ったとおり時間の無駄になってしまう可能性も高く、かえって「計画を達成できていない」という不安と不満が高まって受験に悪影響を与えてしまうだけです。

そのような時におすすめなのが、「必ず毎日やること」を一つ決めることです。

例えば、「〇〇単語帳を10単語ずつやる」など、なるべく具体的なものにしておきましょう。

やる量を多くし過ぎないこと

ここでのポイントは、あまりやる量を多くしないことです。そうすることで、授業の予習や復習で忙しい日にも、「忙しいけれど〇〇単語帳だけはしっかりやろう」という気持ちの縛りができます。

計画はもともと「自分自身を拘束する」ことが一番の目的なので、余計な部分を徹底的に削ぎ落とすとこのような形になります。

もしも「必ず毎日やること」以外に何も勉強することがないときには、その日の気分や定期テスト・模試の日程を踏まえて何かやってみましょう。

気持ちの面を大事にすることも重要です。

自分のことではありませんが、数学が好きな人が「毎日青チャートを3問やる」という計画を立てて、毎日必ず勉強の滑り出しにチャートをやることで、スムーズに勉強に入っていけるようになった、という話を聞いたことがあります。

単なる苦手分野を計画にするのではなく、このような形で計画を利用していくのも大いに賢いことです。

(2)長期休業中は計画を積極的に立てる

新3年生は受験に向けて時間が増えます。部活動をやっている人は夏に引退し、割と自由な時間が増えるかもしれません。大学入試共通テストや二次試験などが近づいてくると、次第に授業に出る必要がなくなるかもしれません。

この時間を有効活用するためには、多少の手間を惜しんでも計画を立てることが必要です。

しかし、先ほど言ったとおり毎日計画を立てることは大変すぎます。そこで提案したいのが、「長期休業中に計画を立てる」ということです。

長期休業中には授業などもないため、授業の予習や復習、課題などに追われることはありません(あったとしても計画に組み込めば問題ありませんし、多くの学校は3年生にそこまで多くの課題を出さないです)。そのため、不確定要素が減り、計画を立てることが比較的容易となります。ここでこそ計画を詳しく立てるべきです。

計画を立てることでモチベーションを保てる

私は、夏休みや冬休みの他、いわゆるゴールデンウィークなど、4〜5日の連休でも積極的に計画を立てて勉強していました。

これは、勉強へのモチベーションを保つ意味も込められています。

連休の前日の夜にやるべきことを整理し、それを自分なりに計画することで、「時間を有効活用しなければ」という切迫感と責任感が生まれます。

これもある意味では「自分自身を拘束する」効果です。計画が持つこのような性質を最大限活用してほしいと思います。

付け加えておきますが、自分が立てていた計画はそんな大層なものではありません。それぞれの日でやるべきこととその量を明確にした程度です。

あまり綿密に計画を立ててしまうと、実現できない場合が多く、不安と不満が高まるだけなので、1時間刻みで行動を定める、といった無謀な計画の立て方はしないほうが無難です。

自分を律することで受験生の自覚が生まれる

以上述べてきたことは、新3年生だけでなく新2年生にも通じることなので、全員が一読してもらえると役に立つと思います。

今年は大学入学共通テストが初年度ということもあって、多くの受験生がゴールが見えない中受験勉強をしていたことと思います。

その点で、新3年生は大学入学共通テストの方針がある程度分かっているため、勉強計画も立てやすいのではないかと思います。

2月25日・26日には国公立大学の二次試験が行われました。

新3年生の皆さんは1年後同じ舞台に立っていると思うと実感が湧かなかったでしょうが、かくいう私もかつてはそうでした。

受験生である実感は、何もしないで勝手に出てくるものではなく、自分を律することによって生まれるものです。非常に厳しい時期だと思いますが、今から自分を奮い立たせて勉強に励んでください。

そして、そのためのツールとして提供したのが「計画」です。

計画は、うまく用いると自分を心理的に拘束してくれるため、勉強もはかどります。

2点のアドバイスを元に、新たな受験生の皆さんも頑張ってください!健康にも気をつけましょう!

【FairWind】東京大学の学生がつくる団体。地方と都会の教育格差の解消をめざして、東大生と地方の高校生との交流などの活動をしている。