新生活が始まる4月は、新入生にとっても、「先輩」になった高校生にとっても、新しいことに挑戦するチャンスだ。俳優の中川大志さんのモットーも挑戦だという。失敗する不安を感じずに、挑戦を楽しむヒントを教えてもらった。(文・中田宗孝、撮影・幡原裕治)

自分を良く見せようとしない

俳優の仕事をする際に心がけているのは、「失敗を恐れずに挑戦を続ける」ことだという。

「自分をよく見せようとせず、カメラの前でどんな表情でも見せられるようにしています。それが『覚悟を決めて役を生きる』ことだなって思うんです」

中川大志さん。スタイリスト:徳永貴士、ヘアメイク:堤紗也香

 

もちろん、はじめからその思いにたどり着いたわけではない。「こう演技しよう、ああ演技しようと、自分の持ち球のような演技プランを持たずにカメラの前に立つのは、すごく怖かった」と明かす。

「だけど、自分のプラン通りの演技ができたとしても、“枠からはみ出した演技”が生まれないなって気がついたんです」

挑戦で新しい自分に出会える

挑戦するのは、不安な気持ちもつきまとう。その結果が、すべて成功するとは限らないし、時には失敗もするだろう。だが、「手を抜かず、一生懸命やった挑戦は決してムダにはならない」という。

「もし失敗しても『今回はダメだったかー』くらいに思えばいい。僕はそう考えるようにしています。挑戦すること自体が楽しい、面白いと感じられれば、失敗の怖さは和らぐはず。挑戦は、自分でも気が付かなかった、新たな自分に出会えるチャンスでもありますから」

 

 

新生活が始まる4月。心機一転、新たな挑戦を考える高校生に向けて「極端なたとえになりますが『大失敗しても死なない!』。そこは開き直る強さを持って挑戦してほしい」と、エールを送る。

いじめから救う高校生演じる

主演映画「砕け散るところを見せてあげる」では、女子高校生をいじめから救う高校生・清澄を演じる。

「清澄は、誰に対しても自然体で接する人物。カッコつけるわけでもなく、虚勢を張るわけでもありません。なので、僕もシンプルに自然体で役を演じてみました。細かい演技プランをあえてそぎ落とすというイメージです」

本作の役づくり同様に、カメラの前でも意識したのは自然体の演技だ。

「物語の中の目の前で起きている出来事に集中して、役として純粋にどんな感情が湧き出るかを大切にしたんです。いわば丸腰の状態で演技するので怖かったのですが、今回はこの方法で納得の演技ができたと思います」

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なかがわ・たいし

1998年6月14日生まれ。東京都出身。2009年、俳優デビュー。11年に出演したドラマ「家政婦のミタ」で注目を集める。主な出演作は、NHK大河ドラマ「真田丸」、NHK連続テレビ小説「なつぞら」、映画「坂道のアポロン」など。

砕け散るところを見せてあげる

 

平凡な日々を送る高校3年生・清澄(中川大志)。学年一の嫌われ者と呼ばれ孤立していた少女・玻璃(石井杏奈)に出会う。救いの手を差し伸べてくれる清澄に、玻璃は徐々に心を開いていくのだが……。4月9日より全国公開。配給:イオンエンターテイメント。(C)2020 映画「砕け散るところを見せてあげる」製作委員会