決勝で31得点を稼ぎ、優秀選手賞に選ばれたエースの八村塁

第45回全国高校バスケットボール選抜優勝大会(ウインターカップ)が12月23日から29日まで東京体育館で行われた。男子決勝は、明成(宮城)が全国高校総体(インターハイ)覇者の福岡大大濠(福岡)を71-69で破り、2年連続3度目の優勝を果たした。女子決勝は、桜花学園(愛知)が昭和学院(千葉)を72-67で下し、3年連続20度目の優勝を達成した。
(文・青木美帆、写真・幡原裕治)
 
 八村塁(2年)=富山・奥田中出身=がボールを高々と放り上げた。金銀にきらめく紙吹雪の中で固く抱き合う5人の選手は、全員2年生。若いチームが高校バスケットの最高峰に立った。
 
残り34秒で逆転
 
 前回大会と同じカードとなった決勝。明成は序盤から劣勢だった。しかし試合終了まで残り2分を切ったタイミングで、三上侑希(2年)=北海道・東海大四中出身=のシュートで同点とし、残り34秒で八村がタップシュートを決めて逆転に成功すると、そのまま逃げ切った。
 
 明成は昨夏のインターハイでも決勝まで勝ち上がり、福岡大大濠と対戦した。しかしU-17世界選手権に出場する八村と納見悠仁主将(2年)=神奈川・横須賀学院中出身=を欠き、53-74で敗れた。
 
 「『(八村と納見の)2人がいないから負けた』と言われることが、すごく悔しかった」という増子優騎(2年)=新潟・本丸中出身=をはじめ、選手たちは悔しさに泣いた。佐藤久夫監督(65)からは「涙はウインターカップにためておけ」と声を掛けられたが、それでも涙が止まらなかった。
 
厳しい練習が底力に
 
 「ウインターカップは全員で絶対に勝とう」。気持ちを一つにして、チームは再始動した。3年生と同じレベルの技術、体力、精神力を求める佐藤監督の指導や大学生との練習試合を、選手たちは口をそろえて「つらかった」と振り返る。しかし、この厳しい練習で鍛えた底力が、ウインターカップ決勝での劇的な逆転勝利につながった。
 
 チームが来年度に目指すのは、もっと大きな記録だ。納見は「来年はプレッシャーを楽しみながらインターハイから優勝したいし、ウインターカップも3連覇を狙います」と抱負を語った。

チームデータ
 2005年創部。部員20人(3年生2人、2年10人、1年生8人)。ウインターカップ出場は8度目。初優勝は09年。インターハイ出場は7度、準優勝2度。