あるクラス。みんなが机に伏す中で、凛とした眼差しで、こちらを見つめるセーラー服の少女。
この写真作品「再起動」は、髙野愛(いつみ)さん(北海道・旭川西高校3年)が手がけました。文化部の全国大会の一つである全国高校総合文化祭2020こうち総文の写真部門で奨励賞を受賞しました。どんな思いを込めて撮影したのか、聞きました。
孤独な時こそ強くなりたい
―何をテーマに撮影しましたか?
この写真は「未来への強い意志」がテーマになっています。
私を含め、多くの高校生が人との関わり方で悩み、弱気になってしまうことがあると思います。しかし、私は弱さだけでなく、少しの希望を信じ、前向きに未来へ進もうとする意志や心の強さを表現したいと思いこのテーマにしました。
―中心の少女の表情が印象的ですよね。
はじめは孤独な少女を撮るつもりでしたが、私は孤独な時だからこそ、「負けたくない。強くなりたい」と思ってしまうんです。
だから、中心の少女だけ力強くカメラを見てもらうことで、作品を見た人が興味をもっていただけるような1枚にしました。
中央の少女だけ別の制服
―こだわったり工夫したりしたポイントは?
少しわかりにくいですが、中心の少女のみセーラー服にしたことが工夫の一つです。1人だけ特別な感じになるよう、制服をかえました。
周りの人の表情が見えるパターンも何枚か撮りました。ですが、1人を目立たせたかったので、机に伏せているというのもこだわったポイントです。
―難しかった点や苦労した点は?
学校の教室で、7月から8月にかけて撮影しました。難しかったのは編集です。
どこまで写真を切り取れるか、色味をどうするかとても悩みました。とくに色味は、編集前の写真が太陽の光で少し明るくなってしまい、孤独を全く感じませんでした。
そのため、彩度を下げてみたり、寒色系にしたりしましたが、やりすぎず調節しながらやるのが大変でした。
「5秒間だけ笑ったら負け!」
―制作途中で印象に残っているエピソードを教えてください。
この写真は、部員に協力してもらって撮りましたが、先輩や後輩もいてとてもにぎやかでした。
他の構図で撮っているときもみんな笑っていて、「5秒間だけ笑ったら負け!」などと言って撮影しましたが、終始笑っていた気がします。大人数撮影は学年をこえて話をしたりするのでとても楽しかったです。
―よい作品を作るためのコツはなんでしょうか?
私はあまり技術とかがないので、よい作品を作るというよりは、自分の撮りたいものや表現したいこと、好きな構図などを見つけるようにしています。この写真を通して初めて大人数撮影に挑戦し、自分が撮りたかったものを見つけることができました。