勉強では学年トップ、部活も積極的にこなす充実した日々を送っていた高校生のそうたさん(2年)。病気が原因で通信制の高校へ転校しました。「何もかもなくした…」。そこから立ち上がったのは、新しい高校での新たな出会いでした。

勉強、部活頑張り過ぎて体を壊し

希望と少しの不安を胸に始まった高校生活は、私が想像していたより何倍も楽しくて、充実した日々でした。勉強は上級生にも負けないほどの学習量で学年トップを維持し、部活でも朝練に積極的に参加し、誰よりも努力していました。

ですが高校2年、秋。通信制高校へ転校することになりました。原因は、度を越した努力により、消化器系の病気になってしまったことでした。

食事が取れないときは点滴を受けに病院へ

何もかもなくしてしまったと思っていたとき、新たな場所での新たな出会いが生きる気力を与えてくれました。

「何もかもダメ」落ち込んだ私を励ましてくれた

まずは体力作りのために始めた、アルバイト先での出会いです。

それまでは「私は周りとは違う通信制の高校に通っているんだ」という壁を感じていました。しかし、仕事仲間は自分より年上の方がほとんどで、通信制高校の子だからという偏見なしに接してくれました。

続いての出会いは、以前部活でやっていた競技を市民体育館で始めたときのことです。そこは私の両親や祖父母世代の方ばかりでした。

「何もかもダメ」だと、これから自分の歩む道すらわからなくなっていたとき、「まだ諦める歳じゃないよ。これからだよ」と言ってくれました。そのとき私は、今まで目を背けていた今後についてしっかり考えようと思えました。

将来やりたいことが見つかった

自分にある小さな可能性をしっかり努力で伸ばしていこう。

そう思い、病気になって体力を回復させるために勉強し始めた「料理の道」に進むことを決心しました。どんなに体が弱かろうが、通信制高校出身だろうが、実力では負けない料理人になってみせると。

脂質制限中でも少しでもおいしいものを食べたくて作った、オリジナルレシピのノンオイルのバナナケーキと鶏胸肉の肉じゃが

私を救い出してくれた、たくさんの人のおかげで今の私があります。

その方たちにできる最大の恩返しは、自分の夢を実現することだと思います。私の料理で誰か一人でも笑顔にできる日が来るよう、そして自分と同様に病気で食べられるものが限られている人が楽しめるような料理を作れるよう、自分の信じた道を前に進んでいこうと思います。(そうた=2年)