多彩な役柄を鮮やかに演じ分け、数多くの作品で主演を担ってきた俳優の松坂桃李さん。「寝落ちを辞める考え方」「好きなアーティスト」など、松坂さんに憧れる高校生読者から寄せられた相談や質問に答えていただきました。(文・中田宗孝、写真・中村博之、スタイリスト・小林新、ヘアメーク・高橋幸一)

寝落ちに勝てるか…責任感を奮い立たせて

―高校生から松坂さんに質問が届いています。まずはお悩み相談から。「勉強などやるべきことがあっても、やり終えずに『寝落ち』してしまいます。やることがたくさんあって内心焦っていても眠くなってしまうんです。どうすればよいと思いますか?」

自分の中の「欲望」とのせめぎ合いですね。高校生のみなさんに知ってほしいのは、大人になった僕らにも質問と同じような出来事は起こることなんです。

 

僕自身、家に帰るといろいろな誘惑が押し寄せてきます。「寝たい」「だらけたい」「もう外に行きたくない」「台本を覚えなきゃいけないけど作業したくない」。どれか1つの誘惑ならまだしも、不運なことに全部該当してしまう日だってあるんです(苦笑)。高校生、大人に限らず誰しもがそんな思いを抱き、迷いながら日々過ごしています。

一つ助言できるとしたら、「責任感」を奮い立たせてみてはどうでしょうか。もし自分が誘惑に負けたとして、その「責任」を自分自身で背負えるかどうか。さまざまな誘惑に打ち勝てる人は、責任感を持っています。僕も、己の欲望・誘惑と責任感のせめぎ合いを繰り返しながら毎日を過ごしています。

―プライベートについての質問が届いています。「松坂さんが息抜きにしていることは何ですか?」

バラエティー番組「マツコの知らない世界」を見ます!

欠かさず見てます。事前情報を一切入れずにいち早く見たいので、できる限りリアルタイムで視聴するようにしてるんです。この番組は本当に面白い!

ずっとバンプが大好き、勇気や元気をもらえる

―続いての質問は……「好きなアーティストはいますか?」

BUMP OF CHICKENですね! 

学生時代から今も変わらず、BUMP OF CHICKENの楽曲に数え切れないほど励まされ、自分を突き動かす原動力になっているバンドなんです。BUMP OF CHICKENのメッセージ・ソングは、歌詞の中で「頑張れ」とは言わない。僕が抱く彼らのメッセージ・ソングは、リスナーに寄り添うというか、背中を押すというよりは背中を見守ってくれるイメージ。

自分が大きな挑戦をするとき、失敗したな、うまくいかないなというとき、BUMP OF CHICKENの曲を聴くと、不思議と勇気や元気を自ら生成できるようになるんです。そんな僕をBUMP OF CHICKENが見守ってくれている、みたいな。学生時代は、「車輪の唄」や「スノースマイル」を聞いて、自分の中にある勇気を湧き出していました。

 

―最後に主演映画「あの頃。」について伺います。劇中で、遅れてきた青春を過ごす大人たちを“中学10年生”と表現しています。松坂さんご自身は、いまだに中学10年生のような行動をしてしまうことはありますか?

家の中では中学10年生(苦笑)。時々、ソファで絶対に誰にも見せられないような態勢で寝てしまいますね(笑)

松浦亜弥さんファンを演じた松坂さん

あと、ピザとコーラを用意して欲望のままに食べる。(家族旅行中に一人家に残された主人公の少年が普段できない自由を満喫する)映画「ホーム・アローン」の気分で(笑

まつざか・とおり

1988年10月17日生まれ、神奈川県出身。2009年、特撮ドラマ「侍戦隊シンケンジャー」で俳優デビュー。主な出演作は、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」、映画「娼年」「孤高の血」「新聞記者」など。出演待機作の映画「いのちの停車場」「孤狼の血 LEVEL2」「空白」「耳をすませば」が今年公開予定。また、今春にはNHK土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの高感度について」で主演を務める。

映画「あの頃。」

 

うだつの上がらない日々を過ごす無名バンドマンの劔(つるぎ)(松坂桃李)は、友人にもらったDVDに映し出されたアイドル・松浦亜弥の輝きに衝撃を受ける。彼女の大ファンになった劔はひょんなことから、松浦亜弥やモーニング娘。がいる「ハロー!プロジェクト(ハロプロ)」のアイドルを愛してやまない個性豊かな男たちと出会う。彼らとハロプロ愛を連日語り合う“中学10年生”のような青春を満喫するのだが……。配給:ファントム・フィルム。2月19日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。(C)2020『あの頃。』製作委員会