私は北海道の根室に住んでいる高校生です。みなさんは北方領土問題について知っていますか? 根室にある納沙布岬(のさっぷみさき)からは北方領土が見え、とても身近な存在です。私が通う高校には、北方領土問題を研究している部活があります。どんな活動をしているのか、紹介します。(高校生記者・はち=2年)

ロシアの不法占拠が続く北方領土

まず、みなさんは北方領土についてどのくらい知っているでしょうか? 北方領土とは日本最北端である択捉島(えとろふとう)をはじめとした、国後島(くなしりとう)、色丹島(しこたんとう)、歯舞群島(はぼまいぐんとう)の4つの島のことです。

根室市にある本土最東端の納沙布岬。近くに北方領土資料館がある

ここは昔から日本の領土であるにもかかわらず、ロシアの不法占拠が続いています。 

そんな北方領土について活動しているのが、私の所属している「北方領土根室研究会」です。この研究会は、北方領土返還運動の原点の地・根室にある高校としてさまざまな活動をしています。主な活動としては大きく分けて2つあります。

出前講座で県外へ 学校などで現状伝える

1つ目は出前講座です。市内の小中学校から全国まで幅広く活動しています。出前講座では私たちの活動内容、北方領土問題の経緯、現状、これからについてお話ししています。

北方領土運動啓発のための出前講座で北方領土運動啓発のための顔はめパネル

私も昨年2月に香川県へ行き、一般の方々を対象に出前講座をさせていただきました。初めての道外での出前講座ということもあり、とても緊張しましたが、貴重な経験になりました。

実際に香川の方々に講座を開いて感じたのは、やっぱり、北方領土問題について知られていないこと。私たちがお話しする中でうなずいている方や、「へ~」などと思わず声を漏らしている方を見かけました。

どの講座でも、最後に決まって話すのは、「講座を聞いたみなさんが『情報発信者』になる」ということ。現段階では、北方領土問題について世間の関心がないことが課題にもなっています。

まずは周囲の人に、北方領土について知ってもらうのが大切だと私は思っています。この記事を読んでくれているみなさんにも、ぜひ北方領土について関心を持っていただきたいです!

北方領土に住む同年代のロシア人と交流

2つ目は北方領土に関するイベントに参加することです。

イベントといってもさまざまで、例えば北方領土から来たロシアの同年代の子と一緒にご飯を食べたこともあります。さんま祭り(根室はさんまが名産品です!)などの地元のお祭りで北方領土返還を求める署名活動をしたり、地元の中学生と北方領土をテーマにして交流したりすることも。ほかにも、地元のFM放送でのラジオ放送など、たくさんの活動をしています。

北方領土から来たロシアの子たちと交流

北方領土に住むロシアの子とは、漫画の話や大学のことなど、友達と話すようなことをたくさん語り合いました。そのあとはインスタも交換して、今でも交流は続いています。

さまざまな年代の方やロシアの方まで、普通に高校生活を送っているだけではなかなか出会うことのない人たちと触れ合って、私たちは日々活動しています。

大まかに説明しましたが、私たちは「北方領土のことについてみなさんに知ってもらう」をモットーに、ほかにもさまざまな活動をしています。みなさんも身近なイベントに参加したり、署名活動をしたり、北方領土について調べたりなど、ぜひ北方領土について関心を深めてみてください!

意見は人それぞれ、歩み寄る姿勢が大事

この部活をしていて、よく聞かれるのは、「あなた自身、北方領土問題についてどう思っていますか?」という質問です。

考え方は人それぞれ。自分の故郷である北方領土から追い出された元島民の方の中には、ロシア人を嫌いだと感じる人もいるかもしれません。自分の親のお墓が今でも北方領土にあり、手続きをしてお金を払わないと行けない方もいます。みなさんはそんな状況になったときどう感じるでしょうか?

私の住む根室でも、ロシア人を好ましく思っていない方もいます。私の父もそうです。

ですが、私は将来、日本人とロシア人が北方領土で共に生活できたらなと思います。今住んでいる北方領土の方々を追い出すと、昔のロシアと同じことを今度は日本がすることになります。

悲劇を繰り返さないためにも相手の出方を待つのではなく、日本が歩み寄っていくことも大切だと私は思います。