猪又涼子(長野・伊那西3年)は、今年の全国高校選抜(3月)、全日本ユースチャンピオンシップ(5月)の個人総合で連続優勝し、インターハイで「3冠」に挑む。同時に、全国高校選抜の団体競技を制した新体操部のメンバーとして「伊那西の優勝」も大きな目標に掲げる。(文・椎名桂子、写真・末永裕樹)

美しい線と、音楽性の高い豊かな表現力が猪又の持ち味だ(5月の全日本ユースチャンピオンシップ)

高校の新体操のトップ選手は近年、部活ではなくクラブチームに所属している場合が多い。ジュニア時代から一貫した指導を受けられ、個人競技に専念できるメリットなどがあるからだ。しかし猪又は、そんな時代に「逆行」する選手だ。長野県の強豪・伊那西の新体操部員として今年の全国高校選抜の団体競技にも出場、初優勝に貢献した。

■心身ともにタフに

ジュニア時代から同世代の中では上位に入る選手だったが、日本のトップを目指すにはやや弱さを感じさせた。それが、高校に入ってから心身ともにタフさを増すなど、目覚ましい成長を見せた。

今年はついに、世界選手権の代表決定戦(4月)に出場するところまでステップアップした。代表には手が届かず、「納得のいく演技ができなくて、思うような結果につながらなかった」と残念がるが、「その悔しさが全日本ユースでの初優勝につながった」と言う。このしぶとさが、今の猪又の強さだ。

「団体と個人の両方をやるのは、きついこともありますが、精神的には強くなれたと思います。部活だからこそ得られた仲間の存在も大きいです」と猪又。その選択が間違っていなかったことを、インターハイの個人総合と団体両方の優勝で証明して見せるつもりだ。

(プロフィル)
いのまた・りょうこ 1997 年10月10 日生まれ。安曇野市立三郷中出身、新体操を始めたのは8歳から。2012年全国中学校選手権3位、全日本ジュニア選手権4位。2014 年インターハイ個人総合で準優勝。155㌢、42㌔。