男子ながら女子並みに高く脚を上げる技は神埼清明の十八番

ハンディ克服し九州制す

男子新体操の強豪・神埼清明(佐賀)が、例年にも増して強い。九州大会を圧巻の演技で制覇し、インターハイの優勝候補と目されている。

6月24日、宮崎県体育館で行われた九州大会。上位4チームがインターハイへの出場権を得る大会で、神埼清明の試技順は1番だった。採点競技において1番目の試技は不利といわれるが、そんなハンディをものともしない強さを見せつけた。それでも中山智浩監督の評価は「守りに入った演技で、動きが小さかった。65点の出来」と辛口。「全国制覇するには、もっと圧倒的な演技でなければ」と続ける。

ジュニアから底上げ

神埼清明は、人の上に人が乗る「組み技」での高さやリスクのある演技、力強く男らしい動きなどで4度のインターハイ優勝を勝ち取ってきた。高校から新体操を始めた選手
たちを育てて、全国レベルの演技に仕上げる中山監督の手腕によるところが大きい。

競技人口の少ない男子新体操では、まずは選手の確保に苦労することが多い。名門・神埼清明も例外ではないが、同校を拠点に活動する「神埼ジュニア新体操クラブ」が全国制覇するなど活躍し、同クラブから神埼清明に進学する選手も増えた。九州大会個人総合で2位になった石橋侑也(2年)もその一人。剛腕監督の下に、ジュニア時代から全国トップレベルだった選手たちが集まってくれば、鬼に金棒だ。

今の神埼清明の演技は「強さ」「速さ」「高さ」「柔らかさ」「美しさ」「斬新さ」全てを兼ね備えている。ミスさえなければ、間違いなく優勝争いのできるチームだ。以前は、選手の力不足を作品でいかにカバーするかについて頭を悩ませていた中山監督も、選手たちの力を発揮し、見せる作品作りに専心できているという。

精鋭が日本一目指す

九州大会の閉会式後、選手たちに「次の目標は日本一?」と聞くと、声をそろえて力強く「はい!」と答えが返ってきた。ジュニア時代から神埼育ちの精鋭たちが、神埼の地に優勝旗を持ち帰る。そんな夢の実現が近づいてきている。(文・写真 椎名桂子)

 

TEAM DATA

神埼清明新体操部 1 9 6 3 年創部。部員23人(3年生6人、2年生8人、1年生5人、マネジャー4人)。部訓は、「天の時 地の利 人の和」。前身である神埼農時代から続く歴史ある部。2000年に中山監督が就任した。