■第32回全国高校新体操選抜大会・男子団体(3月22日・愛媛県総合運動公園体育館)
男子団体は青森山田(青森)が18.000で、2009年以来8年ぶり12度目の優勝を飾った。
男子新体操界では「常勝軍団」のイメージが強い青森山田だが、2014年の全国高校総体(インターハイ)では10位に沈んだこともあった。
現在の2年生は、「どん底」のときに入学し、大学を卒業して就任したばかりの谷俊太郎コーチ(青森山田OB=青森大学卒)の指導のもと、「強い青森山田」を取り戻すべく必死に努力してきた。その成果が出て、15年の全国高校総体では優勝に返り咲き、全国高校選抜では3年連続で2位となっていた。
退くコーチのためにも「絶対勝つ」
「今年こそ優勝を」という思いはひとしおだったに違いないが、さらに谷コーチが今年度いっぱいで退職することが決まった。「コーチが残してくれたものはとても多い」とキャプテンの山内颯太朗は言う。「細かいところにまでこだわって、青森山田らしい動き、表現、隊形移動などをすべて教えてもらった」
その谷コーチのためにも「今回は絶対に勝ちたい」という思いが強かったという。
たしかに、2位の神埼清明(佐賀)、3位の恵庭南(北海道)もほぼノーミスの素晴らしい演技だった。甲乙つけがたい3校の中から青森山田が抜け出すことができたのは、「勝ちたい」という思いの強さゆえだったようにも思う。
一度、どん底に沈んだところから這い上がってきた青森山田は、以前よりもさらに力強く、よりシャープに、そして安定感のあるチームになった。
今回の演技もまさにそういう「青森山田らしさ」に満ちていた。(椎名桂子)