大学の「リアルな姿」は、パンフレットやホームページだけではなかなか見えてこないもの。20年以上にわたって大学生の「ナマの声」の取材を続け、『大学図鑑!』の監修を務めるオバタカズユキさんに、MARCHと呼ばれる明治、青山学院、立教、中央、法政の5大学に通う学生の特徴を聞いた。(安永美穂、協力・ダイヤモンド社)
オシャレイメージUPの明治
―明るく活動的な学生が多い大学は?
かつてのバンカラ色は薄くなったものの、元気のよい学生が多いイメージがあるのは「明治と法政」。どちらの大学も、早稲田に入れなかったコンプレックスを笑い飛ばしてしまうような明るさがある。
明治は、最近ではオシャレなイメージにひかれて入学する学生もいる。男子の男臭さはなくなって爽やか系になり、女子はサバサバ系が多い。明治大学は「脱MARCH、これからは早慶明」と標榜している。
勉強に関しては、受け身ではなく、自分が学びたいことを主体的に楽しく学んでいる学生が多いという印象。
あかぬけた法政、打たれ強いキャラも
―法政大学も元気な学生が多いんですね。
法政は、早稲田→明治→法政という硬派大学ラインの中にありつつも、新しい学部や施設を増やしたことで志願者が増え、イメージアップに成功。学生のプライドも気合いも右肩上がりといった印象。
明るくてパワーがあり、打たれ強いキャラの学生が多い。オシャレな女子学生も多く、最近はあかぬけたイメージがある。
優等生イメージの中央、資格取得に燃える人も
―反対に、落ち着いた雰囲気が好きな人や、いわゆる「ぼっち」になってしまったとしても浮かない大学はどこでしょうか?
中央は、MARCHの中では地方出身の学生が多く、まじめで控えめ、外見もどちらかといえば地味な学生が主流。高校では優等生だった人が集まっているというイメージがある。
チャレンジ志向よりも安定志向を持つ学生が多い印象。第一志望の大学に入れなかったコンプレックスをバネにして、司法試験や公認会計士試験を突破しようとやる気に燃える人もいる。
立教は高校と似た雰囲気!?男子はおとなしめ
―立教大学もおとなしい人が多いのですか?
立教は、特に男子を中心におとなしめの印象がある。プライドは高くて勉強もできるが、物事への執着心は少なめでガツガツしたところはなく、周りに合わせようとする学生が多い。
人間関係は「つかず離れず」。周囲から浮かないように……という、ゆるやかな同調圧力が働く面もある。だが、明らかに浮いている言動をとらなければ孤立することもなく、高校の雰囲気と似ている面もある。
「青学はチャラい」は誤解、オシャレ度は高め
―では、青山学院大学の学生の特徴は?
青山学院は、一般的には「チャラい」というイメージがあるかもしれないが、派手に遊んでいる学生はごく一部。実際には、勉強や課題はしっかりこなしている学生が多い。
イベントなどはそれなりに盛り上がるが、人間関係はいい意味で「ドライ」。人文・社会科学系のキャンパスは東京・表参道というセレブなエリアにあるので、男女ともにオシャレ偏差値は高い。
金持ちであることをひけらかすことはないが、裕福なご子息・ご令嬢もそれなりにいる環境なので、特に女子学生はオシャレに使えるお金がないと疎外感を味わうこともあるかもしれない。
一面的な見方は禁物、学生のキャラはいろいろ
ただ、ここで述べたのは「数ある見方のひとつ」にすぎないので、明治や法政にもおとなしい学生はいるし、中央や立教にも明るくパワフルな学生はもちろんいる。志望大学・学部を決めるにあたっては自分でも情報を集めたうえで、「こういう見方もあるんだな」といった距離感で参考にしてほしい。
『大学図鑑!2021 有名大学83校のすべてがわかる!』(オバタカズユキ 監修/ダイヤモンド社)
現役学生とOB・OG総勢5000人を超える「ナマの声」を集めて作った、広告・建前・裏取引は一切なしの“真の大学案内”。受験生が知っておきたい内容が満載。2021年3月に2022年版が刊行予定。
フリーライター、フリー編集者。教育・キャリア分野の執筆が多く、1999年から『大学図鑑!』(ダイヤモンド社)を毎年刊行している。著書に『早稲田と慶應の研究』(小学館新書)、『大手を蹴った若者が集まる知る人ぞ知る会社』(朝日新聞出版)など。