池田澪さん(大阪・好文学園女子高校3年)の立体作品「揺れる」を紹介します。新聞紙でタコの動きや生命力を表現し、文化部の全国大会の一つである全国高校総合文化祭2020の美術・工芸部門に出展しました。どうやって制作したのかを聞きました。
新聞紙で作った生命力あふれるタコ
―何をテーマに作品を作りましたか?
作品のテーマは海洋生物です。
以前から新聞紙を使った立体作品を制作しており、過去にカメやワニなどを制作しました。新聞紙でやわらかい生物を表現したら面白いと感じ、今回は題材にタコを選びました。また、こうち総文の立体分野の出品規定を見たときに、「床面1平方メートル、高さ2メートル」とあったので、上にのぼる生命力を表現したいと思ったのもタコを選んだ理由です。
―タコがうねうねしている感じが、リアルに表現されていますね。
タコが水中で、上を目指して壁を力強く移動していく様子を表そうと、足の動きを意識しています。
重心や、足のどの部分に力がかかるかを考えながら、体全体の力の流れが不自然にならないように気をつけました。小さな生き物の力強さと生命力を感じていただきたいと思っています。
重みに負けない形の維持が大変
―こだわったり工夫したりしたポイントは?
1つ目は、タコの足の先です。8本の足のリズムを意識しました。また、足の間の膜にも動きをつけ、体全体に躍動感が感じられるようにしました。
2つ目は、「目」です。色のついた新聞を選び、暗い中でもやわらかく光り、周りを伺う様子を表現しました。
―難しかった点、苦労した点は?
形を維持することです。
高さ制限ギリギリまで足を延ばしたのですが、重みに負けてしまい……胴体に付けた足が日に日に下がり、シルエットが何度も変わってしまいました。
そのたびに元の位置に固定し直したり、足の方向を変更したりすることが多く、難しかったです。
つくるものの「らしさ」を観察して
―制作途中で印象に残っているエピソードは?
自分よりも大きな立体を制作するのは、とても力のいる作業でした。
高さを支えるために、木材や針金などを使用しましたが、それらを組み立てるためにさまざまな道具を使えたことが面白かったです。また、新聞紙を棒状にする作業が追いつかず、家にも持ち帰り作業をしました。
制作中は、たくさんの先生方が美術室に見に来て下さいました。「進んだな」とか「すごいな」など励ましを多くいただき、とてもうれしかったです。
―よい作品を作るためのコツを教えてください
普段からいろんなものに興味を持ち、いろんなものを見ることだと思います。
今回の制作で題材を決めるために、私自身も多くの生物を観察し、さまざまな動きのスケッチをたくさんしました。何かを作りたいと思ったときに、そのものの「らしさ」をうまく伝えるために、観察することが大切だと感じました。