「受験は団体戦」と生徒に伝える高校の先生は多いですが、本当にそうなのでしょうか。友だちと切磋しながら、受験勉強のモチベーションを上げる方法について、地方の高校生の大学進学を応援する東京大学の学生団体「FairWind」に所属する毛利優希さん(理科一類1年、愛媛・愛光高校出身)から高校生へのアドバイスを紹介します。

「受験は団体戦」と語る高校の先生の真意は

みなさんこんにちは。理科一類1年の毛利優希です。今回は「モチベーションの維持法」というテーマでお話ししていきます。

みなさんはどこかしらで「受験は団体戦だ」というのを聞いたことがあると思いますが、これって実際はどうなのでしょうか。僕の意見を述べると半分正解で半分間違いだと思っています。

これをおっしゃるのは大半が学校の先生方だと思いますが、先生方は主に学年全体の団体戦という意味でおっしゃることが多いです。学年全体の雰囲気が合格実績に影響を与えるというのはまあ一理あるでしょう。

しかし、受験の要は学年の雰囲気なのでしょうか。「んなわけない!」「合格実績とか知ったこっちゃない!」。こう思いませんか。

切磋琢磨する友達は必要だ

では受験とは個人戦なのでしょうか。確かに1人で黙々と勉強しなければならない場面もあるので個人戦とは言えなくもないでしょう。しかし、1人で勉強するだけではモチベーションを保つことはとても難しい(少なくとも僕はそうでした)。

僕は受験には互いに切磋琢磨し刺激になれる友達が必要ではないかと思うのです。そういった友達と合格という同じ目標に向かって突き進む。こういった意味では受験は団体戦だと思っています。

意識が高く気軽に話せる人がいい

一概に競い合える友達が大事と言われてもイメージが掴みにくいと思うので、僕はこんなことをしてたよ、という体験談を話してみようと思います。

まずはどんな人が適切かと言うと、意識が高く、気軽に話すことができる人です。周りにこんな理想的な人がいれば話が早いですが、そう簡単に周りにはいないのが現実でしょう。その時は最低限足を引っ張ってくる人でなければ特に問題はないと思います。他には「努力家な人」「成績が自分よりちょい上の人」「得意不得意が似ている人」などだといい刺激になるでしょう。

僕はありがたいことに環境に恵まれており、そのような友達が少なくとも5人以上はいました。彼らとは大きく二つのことをしていました。

模試の結果を見せ合うことで結果と向き合える

一つ目は成績を競うことです。「負けた方がジュースおごりな!」とか可愛らしい賭け事をしたり、模試が返ってきた時に互いに見せ合って一喜一憂したりといった感じです。

互いに模試、成績を見せ合うことに何の意味があるのかと思うかもしれませんが、実際は得られるものが結構あるのです。「あ、ここで点落としたんだ」とか、「ここ自分もミスしたわ〜」とか、公表される平均点以上に多くの情報が詰まっています。その情報をどう活用するかは個人の力量次第ですが、自分の成績が知られることの恥さえ捨ててしまえば、得られるものは相当大きいと思います。

また、模試で一喜一憂すべきではないという意見もありますが、結果の良し悪しによらず引きずることがよくないのであって、返却された当日くらいは一喜一憂して自分の結果ととことん向き合うべきだと僕は思います。その日の爆発させた喜び、悔しさを、今後の勉強の原動力にしていました。

友達と議論することで学びが深まる

二つ目はある問題に対して議論し合うことです。これがこの記事の最も伝えたい点です。友達と議論しながら勉強することで1人では決してできない多くのことを吸収できます。

例えば、数学のテスト勉強か何かで少し難しめの問題を何人かで解いているとしましょう。自分が先に解けた場合、どうしてその解き方に至ったのかを説明することで自分の勉強にもなりますし、逆に友達の方が先に解けた場合、その説明を聞くことで新たな着眼点、発想を得ることができます。このように今まで1人で黙々と解いていた問題の一部を友達と共有することによって、その問題の深くまで考えることができました。

この記事を書きながら、僕は本当に友達に恵まれ、彼らがいなかったら合格できていないんじゃないかと思えるほど、僕の勉強のモチベになっていたように思います。勉強の仕方が人それぞれであるように、モチベの保ち方、友達との関係も人それぞれだと思います。

この記事を含め様々な勉強法、モチベーション維持法の中から自分にあったものを選び出し構築していってください。

【FairWind】東京大学の学生がつくる団体。地方と都会の教育格差の解消をめざして、東大生と地方の高校生との交流などの活動をしている。詳しくはこちら