勉強や人間関係などでストレスや悩みを抱えること、ありますよね。臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、高校生から寄せられた悩みに答えてもらいました。

【お悩み】思ったことをそのまま言う性格で友人付き合いがうまくできない

「友人付き合い」というものが、あまりうまくできません。

私はかなり口が悪く、思ったことを割とあけすけに言ってしまう性格です。

自分の性格が悪くて直すべきだと思ったことはありません。ですが、そのせいで気を許した相手にひどい言い方でものを言ってしまい、結果、気まずくなるというような事がありました。そもそも取っ付きづらいような印象を与えてしまって、距離を取られてしまいます。

けれど、言いたいこと、言うべきことも言えずに、なあなあな友人付き合いをするのはもっと許せなくて、結局同じことを繰り返してしまいます。

このままでは、今いる友人すら失ってしまうのではないかと心配です。この性格は直すべきなのでしょうか。(らるさん=高校3年女子)

【回答】直したくないのはなぜか振り返ってみて

らるさんの気持ちの中で、その性格を「直したい」気持ちはどれぐらいの大きさでしょうか?

「直すべきだと思ったことはありません」とありましたが、友人を失ってしまう心配から、直そうかどうしようか、迷っている気持ちがあることを感じました。

また、「言いたいこと、言うべきことも言えずになあなあな友人付き合いをするのはもっと許せない」という言葉もありますが、なぜ許せないのでしょう? 

もしかするとそこには、らるさんの「苦手」「困る」「心配」など、マイナスな感情につながる何かがあるのではないですか。性格を直したいという気持ちが大きくなったとき、「性格を直したくないと思うのはなぜなのか?」を振り返ってみることもカギになります。

「嫌われるんじゃないか」はあくまで可能性

例えば「仲良くしたいから声をかけたいけど、できない」と悩んでいるAさんがいるとします。「なぜ言えないのか?」と問うと、「嫌われちゃうんじゃないか」「無視されるんじゃないか」と考えて怖くなってしまうと言うことが多いでしょう。

でも、嫌われたり無視されたりするのは可能性であって、確実に起きることではないはずです。もし、声をかけた相手の反応が思ったほどじゃなくても、嫌われたとは限らず、相手にとっては「よく聞こえなかった」「気がかりなことで頭が一杯だった」だけかもしれません。

この例と同じように、らるさんが友人付き合いの方法を変えようとしたときに「苦手」「不安」などマイナスな気持ちを持ってしまったときも、それはあくまで予想、可能性であることを忘れないでくださいね。

考えの押し付けや批判にならない言葉選びを

もし、そのままの性格でいようという気持ちでしたら、一つだけ提案させてください。

それは友人に話をするときに「自分が正しい/あなたが間違い」と相手に受け取られないようにしましょう。「私の考えでは ~」など、個人の一意見として伝わるように、率直であっても言い方を選ぶことを常に心がけることです。

「自分が正しい」という言い方だと、相手には「考え方を押し付けられた」「批判」と受け取られ、相手と建設的な関係が築きにくくなります。

率直に伝えることも大切

なぜ、こんなことを言うのかというと、らるさんの話の中で「べき」という言葉が目に付いたからです。「考え方が真っすぐで、ハッキリしていて、確固たるものなのかな?」「らるさんの言葉が相手に『批判』と受け取られてしまわないかな?」と気になりました。

らるさんも「ひどい言い方でものを言ってしまい」と言っているので、伝えるときの言葉選びも関係あることは、気づいていますよね。より良い言葉選びもすると、発言の効果はよりアップします。

率直に伝えることも友人関係を作る大切な要素です。らるさんの率直さをぜひ有効活用して、友人作りをしてください。期待しています。

 

大倉智徳さん

おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校、教育相談室などにも勤務