新型コロナウイルスの影響で休校を余儀なくされた期間が続き、オンライン授業が注目されました。日本では、オンライン授業の学校間格差や導入の遅れが問題視されましたが、世界ではどのように実施されているのでしょうか。ロシア・モスクワの高校3年生・ビクトリアさんに、ロシアに住む高校生記者のアジザさんがインタビューしました。

SNSのライブ機能やZoomで授業

―オンライン授業を受けていた期間を教えてください。

休校が言い渡されたのは、春休みが始まる1週間前の3月14日。ロシアでは全国試験を受ける学年があり、春休み中は試験対策のオンライン授業が行われました。

Zoomで勉強しているビクトリアさん

試験対策の授業の動画は、数学の先生、私たちの担任の先生などが、機械の扱いの上手な生徒の協力を得て撮ってくれました。

春休みが終わった4月から5月下旬までは、オンラインで通常授業が行われました。

―どのような形でオンライン授業が行われましたか?

試験対策のオンライン授業は、「VK」と呼ばれるロシアのSNSのLIVE機能を使って行われました。先生は普段の授業と同じく、黒板に問題などを書きます。生徒は、質問があるとコメントを書き込み、先生が答えます。LIVE授業はSNSに保存され、寝坊した人などが見られるようになっていました。

通常授業はZoomで行われました。春休み後の1週間は、オンライン授業に慣れるため、1日に4時間しか授業がありませんでしたが、次の週から毎日6~7時間授業でした。授業は40分で、休み時間は20分。午前10時から午後4時まで授業がありました。体育の授業では、先生のお手本を見ながらカメラの前で体操をしました。宿題はGoogle Classroomに提出しました。テストもGoogle Classroomで行われました。

宿題が出されたGoogle Classroom

ディスカッションする授業は対面と変わらず

―授業の雰囲気を教えてください。

授業が始まってからの2分間は、みんながZoomに入るのを待ちます。教室で授業を受けるときも、チャイムが鳴ってから2~3分たって授業が始まるので、いつもと変わりませんでした。

社会や文学など、あまりノートを取る必要のない、ディスカッションで構成された授業は、教室での授業と変わりませんでした。数学や物理など、黒板を使う授業をオンラインで受けるのは不便でした。Zoomのホワイトボードに式や図を書くのは、先生も生徒も慣れていなかったので、難しかったです。

通学・準備の時間削減に

―オンライン授業は教室で受ける授業とどのような違いがありましたか?

オンライン授業の一番よい点は、自由時間が増えたことです。

私は通学に1時間かかるし、準備にも時間がかかります。午前9時に始まる1時間目の授業に間に合うように、朝6時に起きなければなりませんでした。オンライン授業では、授業の1時間前に起きても大丈夫でした。

重いリュックを背負う必要もなく、ラッシュに巻き込まれることもなくて、快適でした。

オンライン成績表

ネット環境と生徒のコントロールが問題

―よいことばかりですね!

いいえ、オンライン授業は悪い点の方が多かったと思います。

その一つは、インターネットの接続の問題でした。休校になって、ダーチャに行ってしまったクラスメートも少なくありませんでした。ダーチャとは小さな別荘のことですが、モスクワにはマンションしかないので、郊外に一軒家の別荘を持つ人も多いのです。郊外のインターネット環境はモスクワほどよくないので、Zoomになかなか入れなかったり、授業の途中で出てしまったりしました。

もう一つは、先生が生徒をコントロールするのが難しいことです。嫌いな授業をサボる人や、宿題を提出しない人がいました。全ての生徒がちゃんと授業を受けているか確認できないので、Zoomをつけたままスマートフォンを見ている人もいました。

ほかにも、多くの先生方がZoomを使った経験がなく、使いこなせるようになるまで少し時間がかかりました。

―オンライン授業と教室で受ける授業、どちらが学びやすいと思いますか?

私にはオンライン授業の方が合っていたと思います。

自由時間が増えたので、睡眠時間が十分に取れて寝不足になることがなくなり、気分もよくなりました。真面目に授業を受けていたので、分からないところや難しいと感じるところはありませんでした。(取材・翻訳 高校生記者・アジザ=3年)