高校女子バレーボール界をリードする下北沢成徳(東京)も、インターハイ(全国高校総体)の中止は全国の運動部員と同じように残念なことだった。しかし、小川良樹監督の「もし試合ができるなら、それだけで幸せに思いなさい」という言葉を胸に、今できることを精いっぱい取り組んでいる。谷島花虹(やじま・かこ)主将に緊急事態宣言が発令されてから今に至るまで、どんな活動を続けていたかを聞いた。(小野哲史)

休校中は練習自撮り動画を撮影

―自粛期間はどのように過ごしてきましたか?

緊急事態宣言が発令されてからチーム練習もできなくなり、各自が自宅や寮で個人練習をするしかありませんでした。

偉大なキャプテンたちの系譜を受け継ぐ谷島花虹(やじま・かこ)主将

解散する前は、みんなで「ボール練習ができなくても、個人でできることを増やして、少しでも良くなったことを作ろう」と話してから解散しました。

―具体的にどんなことをしましたか?

先生から「自宅ではこれをやっておきなさい」と言われたようなことはありません。あらかじめ自分たちで、「いつもやっているマシンを使ったウエートトレーニングは家でできないから、腕立て伏せや腹筋など、自重を使ったメニューにしよう」などと事前に話し合いました。

1日おきに腕立て50回、腹筋210回、腕立て50回とメニューを決めました。それを各自でやっている様子を動画で撮影し、トレーニング係の3年生3人にデータで送信していました。

実力が見えない不安があった

―チーム練習ができないことで、不安や心配はありませんでしたか?

不安はありました。昨年度は代表決定戦で敗れて春高に行けず、このチームが始動した昨年11月の新人戦でも3位でした。だから(東京のライバル校には)5月から始まる関東大会予選で追いつき、6月のインターハイ予選で追い抜くつもりで練習してきました。

各自が感染対策を徹底しつつ、現在は自粛前のように通常練習を行っている

そんな中で大会が次々と中止になり、実力的に自分たちが今、どのあたりにいるのかが見えませんでした。

ただ、チーム練習再開後は、しばらくは自主練中心にしてそれぞれがトレーニングをやったり、ボール練習をやったりしたので、チーム内でレベルや意識の差は出ませんでした。そこに関しては、みんなで決めたことはしっかりできていたと思います。

インハイ中止は「やっぱりそうか」

―インターハイの中止決定は4月26日でした。それを聞いたときの部員の様子はいかがでしたか?

正式発表される日時がわかっていたので、私は寮のみんなと発表を待っていました。いざ中止と決まると、「やっぱりそうか」という雰囲気でした。

涙を流したり、ひどく落胆したりするような部員はいませんでした。私のように「やりたかったなぁ」と考える部員はいたと思いますが、発表前から中止になるかもしれないとも言われていて覚悟はできていたからです。

どんな状況になってもやることは変わらない

―新型コロナウイルスの流行前と後で、部活動や日常生活はどのように変わりましたか?

どのような状況になっても、私たちがやることは変わりません。常に目標は「日本一」なので、インターハイや国体がなくなったら、次は春高の日本一に向けて一生懸命やるだけです。今はもうほとんど通常通りの練習をしています。

感染対策のようなこともチームで特にルールは作っておらず、手洗いやうがい、消毒や除菌、マスク着用や人混みに近づかないなど、一般的に言われているようなことを各自で考えてやっています。

トレーニング器具を使用後はしっかりと消毒や除菌をしている

それに高校生活はバレーだけではありません。オンライン授業もあったのでそちらも頑張らないといけないし、私生活で気持ちが緩んでだらだらと過ごさないようにしていました。

残るは「春高」 すべてをぶつけたい

―この期間中、キャプテンとして意識してことはありますか?

コロナの流行とは直接は関係ないかもしれませんが、チームがうまくいっていないときは、昨年度キャプテンだった宮地佳乃さん(現・ヴィクトリーナ姫路)に電話やLINEでよく相談しています。

分散登校でなかなか全員が集まれなかったときも、「次に集まれるときに何ができるかをしっかり決めておいた方がいいよ」と、アドバイスしてもらいました。

自粛期間中、Vリーグで活躍するOGからメッセージが入った色紙が届いた

―今後の目標は何ですか?

まだどうなるかわかりませんが、開催されるとしても残る大会は春高だけ。だからこそどのチームも賭ける気持ちは強いはずですが、私たちも前回は悔しい思いをしたので、最後のチャンスにすべてをぶつけたいです。

春高は中止になってほしくありません。でも、万が一そうなっても、私たち3年生はこれまでの経験を後輩たちに伝えないといけないと考えています。

■チームデータ

1951年創部。部員27人(3年生10人、2年生9人、1年生8人)。全国高校選抜優勝大会&全国高校選手権(春高バレー)優勝5回、インターハイ優勝3回、国体優勝6回。黒後愛、石川真佑(ともに東レアローズ)の出身校。通常時の平日は7:00~8:00、15:30~20:00、体育館で練習。