昨年、大規模な民主化デモが起きた香港。6月30日には中国政府による香港の統制を強める「香港国家安全維持法」が施行され、不安が広がっています。高校生記者のみぽんさんが、現地に住む香港の高校生にインタビューをしました。

香港人の高校生にインタビュー

コロナの第1波が収まった5月に飛び込んできたのは、中国政府による「香港国家安全維持法」の制定というニュース。香港は、一国二制度により自治が認められていて、自由度が高い地域です。しかし、最近は中国政府による支配が強まっているため、市民と政府の衝突がしばしば起きています。

昨年にも「逃亡犯条例」改正案に反対する大規模な抗議活動が起こりました。そんな民主主義の危機に直面する香港の今について、香港の高校生のあみすけさん(3年・仮名)に取材しました。

警察の催涙弾で友達が健康被害

―香港の魅力は何ですか?

さまざまな人種が混在していて、多様性があり、平和なところかな? おいしいご飯を安い値段で食べることができます。公用語は広東語だけど、海外企業が進出していることもあって、英語が主に使われています。

市民が自分の意見を付箋に書いて駅の窓に貼っていた

―昨年のデモの様子を教えてください。

中国の暴力団による無差別攻撃によって、デモ隊でない人も攻撃されました。政府の管轄下の飲食店やブランド店がデモの攻撃対象になり、窓ガラスが割られていました。

警察の催涙弾によって、健康被害を受けた友達も何人かいます。催涙弾に含まれる成分による充血・発疹・咳といった症状です。

香港の夜の街

警察がデモ参加者を容赦なく逮捕

―今回のデモについてどう思いますか?

新型コロナウイルスによる自粛ムードのなか国家安全法を押し通したことには、やはり不安と憤りがあります。

去年のデモと比べると、家族や子ども連れの参加がないためか、デモの規模が小さくなりました。警察は以前よりも暴力行使をし、逮捕も容赦なくしています。完全に弾圧されているなと感じています。

―やはり、息苦しさを感じますか…。一連の動きから香港の人に変化はありましたか?

香港生まれ香港育ちの人たちが、家族で香港を出ようと計画を立てています。自分の故郷が失われることは、なんだか悲しいですよね。

報道にもありましたが、海外の企業が香港から撤退しようとしています。中国との関係も悪いため、国内の企業も撤退しそうです。このままでは、香港の多様性も失われるのではないかと不安に思っています。

香港の夜の街

インスタやGoogleが使えなくなるかも…

―香港に住んでいて怖いと感じたことはありますか?

InstagramやGoogleが使えなくなることは怖いです。このままだと、Weiboやバイドゥという、アクセス制限がかかっている検索エンジンを使うことになりそうです。そこに政府に関するネガティブな発言を書き込むと、逮捕される可能性があるかもしれません。

先に暴力行使をしたのは警察なのに、中国国内では、デモに参加した人たちを悪者として報道しています。

観光バスから撮影。香港の都市部は高層ビルが多く立ち並んでいる

取材後記 同年代のデモ参加に衝撃

香港では、私たちと同じ年代の子たちがデモに参加していると聞いて、衝撃を受けました。

私は普段エンタメや美容などのばかり考えています。一方で香港の高校生は、香港の自治と自由を守るために考え、行動しています。自分と香港の人たちの違いに気付かされました。

中国国内で自由に発言することは難しいので、国外の人が取材や報道をして、問題を明らかにするしかありません。もし香港に住む友人がいたら、意見を聞いて発信してみてください。

香港の学校では、プレゼンテーションやディスカッションの授業が多く、自分の意見を言うことが求められているそうです。この経験が主体性を生んで、デモ隊参加につながっているのではないでしょうか。(みぽん=3年)