今回紹介するスイス人高校生のサミラさん(2年)はスイスのバーゼルで暮らしています。高校生記者のももさんが英語でインタビューしました。

バーゼルで暮らすサミラさん

毎週テスト→帰宅後は勉強時間

―どのように1日をすごしていますか?

基本的には午前8時に登校しますが、曜日によってもう少し早かったり遅かったりします。1日にだいたい5教科ほど授業を受け、下校は午後4時か5時になります。

テストが毎週のようにあるので、帰宅後は勉強することが多いんですが、3年ほど前に始めたテコンドーの練習に行くこともあります。乗馬をしていた時期もありました。

乗馬をしていたころの写真

―好きな授業は何ですか?

アートと地理です。アートは選択科目として取っています。絵を描くのが得意なので、自由に創作できるアートの時間はとても楽しいです。地理の授業では、国の位置や名前だけでなく、気候変動や地域の農業など、さまざまなことを学べるのが気に入っています。

スイスは多言語国家なので、これまでに母国語のドイツ語のほかに、英語、フランス語、日本語、韓国語を学校で勉強してきました。

対話型の授業が多い

―クラスの人数はどのくらいですか。また、どのような授業をしていますか?

クラスは20人前後です。

授業では、先生がまず基本的な知識を教え、そのあとクラスメートとそれについてディスカッションする、というような対話型の授業が多いです。特に言語の授業では、会話や発表を重視していて、半年に1度ほどプレゼンテーションの機会があります。

授業は主に教科書などの紙媒体を使って行われます。授業中にパソコンやネットを使うことはありません。近くの学校で、そのような取り組みを実験的に行っていると聞いたことがありますが、通常のスイスの学校では行いません。

―宿題はどのようなものが出ますか?

ドイツ語などの言語の授業では、ライティングの宿題が出ることが多いです。ほかの科目では、先生が配ったプリントを、教科書や資料を読んで埋める宿題が出ることがあります。化学では、プリントで勉強した化学反応などについて、授業で質問されることがあり、気が抜けません。

サミラさんの通う学校

根気よく話を聞いてくれる先生が好き

―特別な行事などはありますか?

高校最後の年に行く、修学旅行です。1年生のときに、友達作りを目的としたスイス国内でのキャンプがありましたが、修学旅行では外国に行きます。ホテルに泊まり、美術館巡りをしたりするそうなので、今からとても楽しみです。

―好きな先生や苦手な先生はいますか?

アートの先生とフランス語の先生が好きです。アートの先生は、いつもオープンだし、すごくすてきだから好きです。フランス語の先生は、生徒の問題が解決するまで根気よく話を聞いてくれるなど、とても生徒思いなところが好きです。

化学と生物の先生は好きではありません。スイスで、先生がどなることはめったにないのに、時々どなるし、クラスの半分以上が赤点になってしまうほどの、とても難しい試験を出してくるからです。

―学校で、放課後に部活のようなものはありますか?

日本の部活のようなものはありませんが、任意の特別授業があります。私は日本語を取っていたことがあります。

娯楽施設が少なくて外で遊べない

―友達と外に遊びに行くことはありますか?

スイスには、日本や韓国のような娯楽施設は少なく、映画を観たりしたくても、物価が高くてあまり外に遊びに行くことはできません。そういう点で、スイスは高校生に優しくないなあと思います。交換留学で、イギリスに1年間留学していたときは、スイスに比べてすべてのものが安くて驚きました。

冬休みにスノーボードをしているところ

―アルバイトはしていますか?

交換留学前、夜にレストランで働いていたことがあります。今は、ケータリングサービスのアルバイトに応募しているところです。ベビーシッターをしている友達もいますが、スイスでは、高校生がアルバイトをするのは少し珍しいんですよ。

私は、大学では留学したいと考えていますが、親に頼るだけではよくないと思い、アルバイトでお金を貯めています。

就職で大学名は重要じゃない

―スイスではどのように進路を決めるのですか?

スイスには、ギムナジウムと呼ばれる4年制高校のほかに職業学校があり、どちらに進むのかは15歳のときの成績で決まります。

3段階の成績の中で、一番いい成績の人しかギムナジウムに進めず、全体の30~40%くらいだと思います。私もギムナジウムに入るために、必死で勉強しました。ギムナジウムに入ってからも、成績が悪ければ落第することがあり、最終学年には大きな試験があるので勉強は大変です。

ギムナジウムを卒業すると、基本的にはスイスのどの大学にも入ることができます。それならみんながランキング上位の大学に入ろうとするのではないか、と思うかもしれませんが、スイスでは大学の名前はあまり重要ではないんです。就職では大学名よりも、その人の性格やスキルなどが重視されるので、どの大学でも問題ありません。

私は将来、国際的な仕事をしたいので、海外の大学に進学することを考えています。(取材・翻訳 高校生記者・もも=2年)