新型コロナウイルスの感染防止のために高校の休校が長期に及んだことを受けて、今の高校3年生が受ける大学入試の日程の変更が検討されている。高校生新聞が大学受験を考えている3年生にアンケートしたところ57%が大学入学共通テストの実施を遅らせてほしいと答えた。出題範囲を狭くすることを望む回答も50%いた。

アンケートは、6月10日から11日にかけて高校生新聞編集部のLINEアカウントをフォローしている読者に呼び掛け、「大学受験を考えている高校3年生」が対象と明記して実施し、492人が回答した。結果が高校3年の受験生全体の反映となるような統計的な手法はとっていない。

大学入学共通テスト「予定通り」希望は29%

大学入学共通テスト(1月16・17日に予定)の実施時期について7つの選択肢から選んでもらうと、「予定通り」の実施を希望したのは29%。一方、10%が2週間延期して「1月末」の実施を、16%が「2月半ば」(1カ月延期)を、10%が「3月半ば」(2カ月延期)を希望した。4月の実施を希望した人も6%、5~6月の実施を希望した人も15%いた。延期を望む高校生は合計57%に達した。希望がないと答えたのは15%だった。

一般選抜「予定通り」は30%、延期は55%が希望

2月から行われる予定の一般選抜(一般入試)についても、「予定通り」の日程を希望した人が30%いた一方で、「2月後半から」の実施を15%が、「3月から」の実施を15%が希望した。「6月以降」を希望した人も13%いた。延期を望む高校生は合計55%だった。希望はないと答えたのは14%だった。

50%が「出題範囲を狭く」、70%が「受験勉強遅れた」

休校が長期化したことを受けて、大学入試の出題範囲について質問すると、50%が「出題範囲を狭くしてほしい」と、26%が「出題範囲は変えないでほしい」と答えた。「どちらもともいえない」という回答も23%あった。

新型コロナウイルスによって休校が長期化したことを受けて、大学入試の変更を希望するか、高校生新聞が高校生の希望をアンケート調査した

休校が受験勉強に与えた影響についての回答は「非常に遅れた」が27%、「やや遅れた」が43%で、70%が遅れたと認識している。「非常にはかどった」は3%、「ややはかどった」は15%だった。

48%が「大学4月入学のまま」、33%が「9月入学」を希望

高校卒業の時期と大学入学の時期の希望については、48%が「3月高校卒業・4月大学入学のままがよい」と答えた一方で、33%が「8月高校卒業・9月大学入学」を望んだ。政府が検討していた「9月入学」の来年の実施は見送られたが、高校3年生の間では希望する声がなお根強い。

「オンライン授業の有無で学力差」「受験勉強の遅れは個人の意識」

自由記述では「オンライン授業の有無で高校ごとの学力の差が開いていることを大学側にも理解していただきたい。日程を遅らせる、試験範囲を縮小するなどの配慮をしてほしい」(神奈川)、「範囲は、正直減らしてほしい。でないと今年度の入試は、中高一貫校の一強になってしまう」(栃木県)など変更を求める生徒がいた。

一方、「家にいるか学校にいるかの違いはあれど、みんなが持っていた時間は同じなので、受験勉強が進む、遅れるは個人の意識の差だと思っています」(北海道)、「モチベーションが保てるか心配なので入試の延期はしないでほしいです。出題範囲の変更については、狭めるといっても学校によって進度が違うし浪人生の方からすると何を頑張ってきたんだ、となってしまう」(愛知県)と変更を求めない声も寄せられた。