ライトノベルが大好きな高校生記者・鈴木とこー君はこれまでに200冊以上のラノベを読んでいます。そんな彼がおすすめする「友達いらない同盟」(講談社ラノベ文庫)を紹介してもらいました。

今回ご紹介するライトノベルは、「友達いらない同盟」です。この作品は《同盟シリーズ》として、「暇人同盟 友達いらない同盟2」も刊行され、完結しています。

園生凪著・講談社・660円

主人公である新藤大輔は、自分にとっての友達を「こいつになら、まあ、殺されても仕方ない。そう思える相手」と定義している男子高校生です。そんな彼が、「友達がいらない」と言う少女、澄田理沙に同盟を申し込まれるところから物語は始まります。

独善的な正義には共感できないけれど…

主人公の存在は、作中でさまざまな人物に影響を与えます。

彼には独善的な部分があり、世の中のいろんなことが許せないと思っている人物です。クラスの中で権威を振るって他者をないがしろにする生徒には、迷いもなく言いたいことを言います。

独善的で正義感の強い彼の姿には、僕は共感できませんでした。その一方で、「自分の中に正義を持てる生き様」はかっこいいと思います。

言葉遊びを混ぜる会話が絶妙

作者の園生凪先生がつむぐ一つ一つの会話にも魅了されました。げらげらと笑うような面白さではなく、気付けばくすりと笑っているような絶妙な面白さは、作者の力量の高さを示していると言えるでしょう。

言葉遊びすらまじるような会話と、淡々としながらもはっきりとした地の文。そして地の文に時たままぜられる主人公の思考。これらの配合はすさまじく絶妙で、ライトノベル好きでも小説好きでも、そのどちらでない人でも楽しめると思います。

「許せなさ」と向き合うこと

「許せない」という思いは、きっと誰もが抱える思いです。ずるい人のふるまいや理不尽なことに、許せないと思ったって、どうしたってなくならない。むしろ、そんな状況があるからこそ世の中が成り立ってると思わされる場面は、どこにだってあります。

だからこそ、許せなさを感じていたとしても、「自分のほうが間違っているのでは」と思うこともあるでしょう。そんな「生き辛さの中で生きていくこと」について考える機会を、この作品はくれます。

本当に、いろんなことを考えさせてくれる作品です。タイトルにもある「同盟」。その意味についても考えながら読んでほしいな、と思います。(高校生記者・鈴木とこー=2年)