大学生のアルバイトと言えば、飲食店や家庭教師などが思い浮かびますが、珍しい仕事もあるんです。大学生のYさんは、1年生の時に「エレベーターガール」のアルバイトをしていました。どんなことをしていたのか、教えてもらいました。

毎日店舗を巡回「商品の質問に答えられるように」

私は百貨店のエレベーター案内のアルバイトを経験しました。この仕事を選んだのは、言葉で伝える仕事を通して将来に役立つさまざまな要素を学び、伸ばせると考えたからです。

仕事内容は主に3つあります。みなさんが想像するように、エレベーターに乗って案内することだけが仕事ではないんです。

エレベーター案内の仕事とは

1つ目に「巡回」と呼ばれる仕事があります。

案内する側が百貨店内のお店や商品のことを具体的に理解できていないと、お客さまに頼られる立場にはなれません。そのために、階ごとのお店を1店舗ずつまわり、置かれている商品の値段や特徴などを、すぐに適切に答えられるように覚えていきます。この作業を毎日行うことで、最新の情報を提供できるようになります。

先輩からは「ひとつの商品でも、置いてある売り場や階数によって特徴がまったく異なる。だから、女性用なのか男性用なのか、高級な物なのかカジュアルな物なのか。ご家庭用なのかプレゼント用なのか。お客さま自身が選べるように必ずひとつの商品につき複数の売り場をご案内できるように」という指導を受けました。

ベビーカーや車いすのお客様の味方

2つ目に、エレベーター前に並ぶお客さまの整列です。

優先エレベーターの前に立ち、ベビーカーや車いすのお客さまを優先して案内することや、エレベーターの到着が遅れる場合はエスカレーターのご利用を勧めるなど、いかに視野を広く持ち動けるかが肝心になってきます。

視野を広く持ち動けるかが肝心

ベビーカーをお持ちのお客さまに、エレベーター到着前にご利用階数を聞いておき、到着後すぐにボタンを押した際、笑顔で「心遣いありがとうございます」と言ってもらえたことがとてもうれしかったです。

怒られても理解してもらえるまで何度も伝える

3つ目が、優先エレベーターに乗り、階数と売り場を案内する仕事です。

これが、みなさんの想像する仕事かもしれません。お客さまの会話を邪魔しない程度の通る声でご案内する必要があります。

気を配りながらアナウンスをすることが難しかった

また、ベビーカーや車いすのお客さまが満員で乗れない状況を作らないように、お声掛けをするという重要な任務があります。混み合った優先エレベーターに乗っている一般のお客さまに、ベビーカーや車いすのお客さまを優先していただけるよう、協力をお願いする声掛けを行うことです。優先エレベーターであるのに、ベビーカーや車いすのお客さまがご利用になれない状況を作ってはいけないため、気を配りながら売り場のアナウンスも行うということが難しかったです。

満員のエレベーター内でお声掛けをした際に「こっちは急いでいる」と、何人かのお客さまに怒られてしまったこともありました。しかし、ご理解をいただけるように何度もお願いし、必ずご協力いただいた後のご案内をするようにすることで、理解していただけることが増えました。

主にこの3つの仕事をローテーションで行っていきます。

百貨店の「顔」 責任を感じた

どの作業も、ひとつのミスでお客さまから百貨店に対する信頼を失ってしまうことにつながりかねません。たとえ仕事に慣れていなくても、百貨店の「顔」であるという責任を持って仕事に取り組む必要があると感じていました。

百貨店の「顔」として責任感を感じた

その一方で、ご案内をした際にいただく「ありがとう」のお言葉で、役に立つことができたという達成感を味わえました。それとともに、「次はこうご案内しよう」と向上心を持つことにつながりました。

エレベーター案内の仕事は簡単ではありませんが、社会に出たときに必ず役に立つことが学べる仕事です。人に何かを伝える仕事を経験してみたい方、体力に自信がある方などはもちろん、自分を成長させたいと思う方は、ぜひエレベーター案内のアルバイトをおすすめします。